ロシアに日本の郵便技術、区分機輸出も 政府、対露経済協力で合意へ

 

 政府は31日、郵便事業の技術協力でロシアと合意する方向で最終調整に入った。12月の日露首脳会談に向けて取りまとめを急いでいる対露経済協力の一環。日本郵便が専門家を国営のロシア郵便に随時派遣し、効率的に郵便物を区分けして配達するノウハウを伝えることが柱になる見通しだ。モスクワの交換局に区分機など自動処理装置を納入している東芝も、ロシアでの受注拡大を目指す。

 12月に両政府が覚書を交わす方向。技術協力の詳細は今後詰めるが、郵便物を一定の基準日数内に配達する日本郵便の運用手法を伝え、サービス向上に役立ててもらう。ロシア郵便が郵便局を建てる際、効率的に区分けや配達を行うのに最適な設計などを助言することも視野に入れる。日本郵便は5月、試験的にロシア郵便からの研修生を受け入れており、政府間の合意後に本格的な人材交流を検討する。

 東芝は1967年に世界初の郵便物の自動処理装置を開発。現在は「世界20カ国前後に納入しており、評価していただいている」(同社)という。ロシア郵便とは2014年に協業で合意しており、国際協力銀行も機器の輸出支援を検討する。

 世界的な電子商取引の拡大により、ロシアでは郵便物の処理の滞留が問題となるなど、一段の効率化が求められている。一方、99%の郵便物を基準日数内に配達する日本の郵便技術は世界的に評価されている。

 政府は日本式の郵便インフラシステムの海外展開を進めており、ミャンマーやベトナムとも覚書を交わしている。日本企業が郵便関連事業に参入する際に足がかりとなることが期待できるからだ。ロシアはこれらの国よりは郵便技術が発達しているが、極東地域などでは整備が進んでおらず、日本式の運営による効率化の余地はあるとみられている。