「水曜日のネコ」も安くなる? 酒税見直しで地方創生にも期待感 

 
ヤッホーブルーイングのクラフトビール醸造所=長野県佐久市(同社提供)

 平成29年度税制改正の大きな焦点は、ビール類の酒税一本化など酒税の見直しだ。酒税見直しは消費者の“懐”に直結するだけに慎重論も根強い。一方で、最近は地域性を重視したクラフトビールの人気が高まっており、小規模醸造所からはビールの値下げにつながる税率の一本化を求める声も上がる。地方経済の活性化などへの期待も大きい。

 「今のブームは本物ですよ」。「水曜日のネコ」など個性的な商品名や味わいのクラフトビールをヒットさせたヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)の井手直行社長は語る。

 小規模ながら味や製法にこだわるクラフトビールの販売数量は、27年度に約2万4千キロリットルと10年前の2倍に増えた。ビール類市場に占めるシェアは0・9%だが、32年度には3%に拡大するとの予測もある。

 規制緩和を受けて10年代前半に地ビールブームが起きたが、町おこしの名の下に粗製乱造されたビールもあり、これらは数年で立ち消えになった。生き残った醸造所は品質を磨き、個性的で本物志向のビールを提供、若い世代らのニーズを捉え、クラフトビールブームに火が付いた。

 現在、クラフトビールの醸造所は全国に約190ある。地元の埼玉県川越市名産のサツマイモを副原料にした「コエドビール」や、熊本県水俣市の甘夏の花の蜂蜜で香りをつけた「不知火海浪漫麦酒」など、地域に根ざしたクラフトビールの開発も進んでおり、政府が目指す地方創生につながる可能性がある。ただ、小規模で経営の厳しい会社は少なくない。

 政府・与党は、350ミリリットル缶でビール77円▽発泡酒47円▽第3のビール28円-という現行の税率を段階的に約55円に統一する方向で検討を進めている。税額格差が業界の商品開発をゆがめ、国際競争力が低下しているとの危機感がある。

 ビール大手では、減税になるビールの比率が多いアサヒビールやサッポロビールが早期見直しを望む。逆に、発泡酒と第3のビールが得意なキリンビールとサントリーは消極的な姿勢をみせる。

 与党内には家計への影響を懸念して税率の一本化に対する慎重論もあるが、井手社長は「ビールの税金が安くなればわれわれは助かるし、地域経済も盛り上がる」と訴える。(万福博之)