独政府が中国による独企業買収に態度を硬化 ハイテク技術の流出を警戒
ドイツ政府が中国による独企業買収に対し、一度承認した案件の再審査に乗り出すなど、態度を硬化させている。従来は中国の投資を歓迎していたが、最近はハイテク技術の流出などへの警戒が強まっているためだ。
独半導体メーカーのアイクストロンは10月下旬、中国の投資ファンドによる買収について、独経済エネルギー省から再審査するとの連絡を受けたことを明らかにした。買収計画は6億7千万ユーロ(約770億円)規模。9月上旬には当局の承認を受けていただけに、その撤回は異例だ。
同省は再審査について承認当時に把握していなかった「安全保障関連の情報」に基づく判断と説明するのみだが、技術が軍事転用の恐れがあるともされる。
独政府はまた、発光ダイオードなどを扱う独照明製造大手による中国企業への子会社売却も慎重に精査する方針を示した。
ガブリエル経済エネルギー相は中国による買収について、外国投資は歓迎するが、「国家に支配された企業による技術獲得は区別すべきだ」と述べ、中国が国策として独企業の技術を狙っていると警戒。これに対し、中国側は10月31日、北京のドイツ大使館関係者を呼び出して抗議した。
独メディアによると、中国企業による今年の独企業の合併・買収は40件以上に上り、昨年同期比で倍増。中国政府は技術革新で自国製造業の競争力強化を目指しており、産業ロボット大手クーカなど独製造業の技術力目当ての買収案件も目立っている。
独企業には、独国内で中国企業が自由に買収する一方、中国市場では制約が厳しいことなどへの不満も強まっている。南ドイツ新聞は独中の経済関係について「ドイツが機械を輸出し、中国が安価に生産する時代は終わり、双方はパートナーからライバルになった」と指摘している。(ベルリン 宮下日出男)
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