経産相、露ガルシカ極東発展相と会談 極東開発めぐりロシア側の期待過熱

 
ロシアのガルシカ極東発展相と握手する世耕弘成経済産業相(右)=4日、モスクワ(田辺裕晶撮影)

 訪露中の世耕弘成経済産業相は4日、ロシアのガルシカ極東発展相と会談した。プーチン政権はインフラ整備が遅れた極東の開発を最重要視しており、満足できる協力案を策定できるかが北方領土交渉打開の鍵を握るとの指摘もある。ただ、ロシア側の期待感は過熱しており、実現可能な範囲でどう折り合いをつけるかが課題だ。

 「プーチン大統領は21世紀の国家優先課題として極東の発展を位置付け、配慮している」。ガルシカ氏は会談冒頭でこう述べ、極東開発の重要性を強調した。

 これに対し世耕氏は、ウリュカエフ経済発展相と3日設置した作業部会で極東開発を含む経済協力全体を検討すると説明し、「作業部会の作業の一環で、大臣が提案したプロジェクトを議論したい」と返答した。

 ガルシカ氏は今回の経済協力に関し、ロシア側の担当官庁である経済発展省が提案した50項目とは別に、自らも18項目の具体的なプロジェクトを提案した。

 シベリア鉄道の北海道延伸やサハリン(樺太)からのガスパイプラインといった大型案件に加え、検討が進んでいる木材加工工場や温室栽培施設の整備など内容は幅広い。世耕氏の訪露を控えた10月末には、事業規模が総額1兆ルーブル(約1.7兆円)超に上ると一方的に発表し、物議を醸した。

 ロシア極東地域は人口流出が続き、13億人超の人口を抱える中国の経済圏にのみ込まれる危機感がある。このため、日本の投資や技術移転で地域経済を底上げし、国土の均衡発展を図るのがプーチン大統領の狙い。政権のお墨付きを得ているガルシカ氏は強気だ。

 一方、日露両政府は3日の会合で、12月のプーチン大統領訪日に向け、約30項目の経済協力案件を優先的に具体化することで合意した。プロジェクトを集約するには「“大風呂敷”を広げることで事業規模のつり上げを図っている」(日露貿易筋)とも指摘されるガルシカ氏の極東案件を絞り込む必要がありそうだ。(モスクワ 田辺裕晶)

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 ■ロシア極東発展省の主な要望

 ・サハリン-北海道間の鉄道橋、自動車橋の建設

 ・サハリンからのガスパイプライン敷設

 ・サハリンから電力を輸入するエネルギー・ブリッジの実現

 ・北極海航路の開発、港湾インフラの整備

 ・ボストチヌイ宇宙基地の開発

 ・ハバロフスク国際空港の整備

 ・都市開発や農業開発の基金設立

 ・日本式医療を提供する病院の建設

 ・温室栽培事業や木材加工工場の整備