日本とインドが原子力協定締結、原発輸出促進に期待も賠償懸念でメーカーは二の足 ベトナムでは受注案件の中止も
政府がインドとの原子力協定を結んだことで、成長戦略の柱に掲げる原発輸出にも弾みがつくだけに、原子力設備を扱う日本企業も期待を寄せている。ただ、事故が起きた際の責任を企業にも求めるインドの賠償制度や、相手国の財政難による事業中止のリスクは拭いきれない。
東京電力ホールディングス(HD)の福島第1原発事故以降、国内での原発新増設は事実上不可能になっている。こうした中で、経済産業省やプラント大手が目を向けるのが海外輸出だ。協定調印を受け、「原子力事業に道を開く」(日立製作所)と歓迎の声が上がる。
途上国で急増する電力需要への対応や、地球温暖化対策での温室効果ガス削減など、世界で原発に求められる役割は大きい。特にインドは3億人以上が現在も電気のない暮らしをしており、電力確保策として原発拡大を目指している。
インドは世界的な原子力プラント企業を擁する米国やフランスと、すでに原子力協定を結んでいる。日本製の原発部品をインドで使用するため、日印の同協定調印を米仏が後押しをしたという事情も背景にある。
ただ、インドの原子力損害賠償法では、万一の事故の際、発電事業者だけでなく、原子炉などの設備を納入した企業にも、事故の責任を負わせる仕組みとなっている。有事に政府の支援が保証されない日本企業にとっては、協定締結後も原賠法の“壁”は残る。
さらに世界経済の停滞で新興国の財政リスクも顕在化している。ベトナム政府は、日本などの受注が決まっていた原発建設計画の白紙撤回を求める決議案を国会に提出した。世耕弘成経産相は「高い安全技術を持つ原発の輸出に地道に取り組む」と述べたが、インフラ輸出拡大には一層の官民連携が必要だ。
関連記事