日・EUのEPA交渉加速 TPP発効にらみトランプ氏に圧力も

 

 政府がEUとのEPA交渉を加速するのは、世界中で強まる保護主義の流れを食い止めたい思惑があるからだ。日欧が巨大自由貿易協定(メガFTA)の誕生で合意できれば、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)脱退を掲げるドナルド・トランプ氏への圧力にもなる。英国の離脱決定で求心力が低下したEUはEPA合意を急いでおり、日本にとっては今が攻め時との狙いもあるようだ。

 「なんとか年内の大筋合意を実現したい」

 日本側の交渉筋はこう力を込める。日EUのEPA交渉は、かねて年内妥結の方針を掲げていたが、トランプ氏の勝利で尻に火が付いた。

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 日欧が一気に貿易自由化を進めれば「幅広い地域をカバーする経済連携協定から取り残され、他国に海外市場を奪われる」(フロマン米通商代表)と、米国内の危機感をあおることができる。結果、本来は自由貿易に前向きな与党・共和党内でTPP発効を求める機運が高まれば、トランプ氏の翻意が期待できる-との筋書きだ。

 一方、英国のEU離脱交渉は年明け以降に本格化するとみられる。これ以上の離脱を防ぐため、EUは他の加盟国に対し「EUにとどまるメリットを強調する必要がある」(政府関係者)のが実情だ。メガFTAの合意による貿易拡大は、反転攻勢をアピールするのに絶好の案件といえる。

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 EPA交渉で日本は、EUが日本車にかける10%の関税撤廃を求める。対するEUはチーズや豚肉、ワインなどの農産品市場や自治体調達の開放を日本に迫る。EUが合意に前のめりになれば日本は優位に交渉が進められるため、早期の合意に持ち込む考え。ただ政府内には「合意優先の妥協はできない」と慎重な声もある。(田辺裕晶)