日銀総裁、国会呼び出し急増 野党が「アベノミクス失敗」の攻撃材料に
日銀の黒田東彦総裁の国会出席日数が今年に入り、増え続けている。16日時点で48日を数え、50日の大台突破が見えてきた。マイナス金利や長期金利の誘導目標といった目新しい政策を導入した一方、任期中の物価上昇目標2%の達成をほぼ諦めたことで、「アベノミクス失敗」を既成事実化したい野党の格好の攻撃材料となっている。
50日に迫る
「地方銀行の今後の収益は楽観できるものではない」
16日午前の衆院財務金融委員会。低金利環境下で利ざや縮小のダメージを受ける地銀について、黒田総裁はこう述べた。民進党の重徳和彦議員の質問に答えた。
日銀によると、暦年ベースで日銀総裁の国会出席日数が最も多かったのは、1998年の69日だ。当時の日銀は大蔵省とともに、幹部の接待汚職事件に揺れていた上、金融不安への対処にも見舞われていた。この年4月の日銀法改正で、日銀が国会の要請に応じて業務について説明することなどが制度化された。
今年の黒田総裁の国会出席日数はこれに次ぐ過去2番目のペースで増え続けている。きっかけは1月のマイナス金利の導入決定だ。消費税増税先送りが議論され、衆参同日選の観測が強まったことも、野党の追及姿勢を強めた。
物価2%延期も拍車
日銀は9月、世界初の試みとなる長期金利の誘導目標設定を決め、金融政策の軸足を「量」から「金利」に移した。その後、2%の物価上昇目標の達成時期を「2018年度ごろ」に延期し、総裁任期中の達成が難しくなったことも国会呼び出しの増加に拍車をかけた。
10月には米ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席を予定していた黒田総裁がぎりぎりまで参院予算委での質問に答え、飛行機に飛び乗るという出来事もあった。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「マイナス金利の弊害に対する認識が広がる中、長短金利操作が加わるなど、日銀の政策はどんどん分かりにくくなっている。2%の物価目標の達成が遅れていることがアベノミクスの行き詰まりを象徴する出来事として、野党によって取り上げやすくなっている」と指摘している。(米沢文)
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