米に資金還流で新興国通貨安 メキシコペソは10%超下落 景気停滞で日本にもリスク
トランプ次期大統領米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受け、米ドルの独歩高が続いている。新興国に流入していた資金が、トランプ氏の経済政策への期待感から米国へ還流しているためだ。新興国からの資金流出が続けば、通貨安に伴う輸入物価の上昇やドル建て債務の負担増が新興国の景気を冷やす。株高の流れにある日本経済にとっても下押しリスクになりかねない。(永田岳彦)
通貨安が目立つのがメキシコだ。通貨のペソは、トランプ氏の勝利を受け、対ドルで10%以上も急落。メキシコの中央銀行は17日、政策金利を0・50%引き上げ、利上げでペソ安を抑えようとしたが収まらず、1ドル=20ペソ台の最安値圏で推移している。
ブラジルのレアルとマレーシアのリンギットもそれぞれ約6%下落。中国の人民元も21日の上海外国為替市場で一時、約8年5カ月ぶりの安値を付けた。
SMBC日興証券の平山広太氏は「通貨安が続けば、輸入物価上昇に伴うインフレの加速や利上げに追い込まれ、新興国の景気が悪化する」と指摘する。
本来、通貨安は輸出の増加につながるが、トランプ氏は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を表明し、保護主義的政策を掲げてきた。米国への輸出が増える見通しが立たないことも輸出依存度が高い新興国には逆風だ。新興国では、通貨安、債券安に株安も加わる“トリプル安”の様相を呈している。
通貨安は先進国にも波及している。足元の円相場は1ドル=111円台まで円安が進んでいる。今月9日に一時、1ドル=101円台まで円高となってから、約2週間で10円近くも円安になった。しかし、日本では円安の進展に伴って株価が上昇しており、新興国とは異なる。
第一生命経済研究所の西浜徹氏は「対米輸出の多い新興国に比べて、日本の企業は米国での現地生産が多く、企業収益も円換算で増えるとみられているため」と解説する。
ただ、新興国から資金流出が続けば「外貨準備高が不足し、通貨危機が連想されかねない」(エコノミスト)との懸念もあがる。
先進国と新興国は、貿易や投資で密接に関わっている。新興国経済の過度な悪化は世界経済のリスク要因となり、日本経済も「中国リスク」が深刻になればひとごととは行かなくなる。
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