トランプ氏勝利 日本の変革待ったなし
太陽の昇る国へ□幸福実現党党首・釈量子
--安倍晋三首相がトランプ次期米大統領と会談を行いました。会談後、安倍首相は「信頼関係を構築できると確信した」と述べましたが、大統領選において、トランプ氏は在日米軍駐留経費の日本側の負担増を主張、米軍撤退もあり得るなどと示唆しており、日米同盟が不安定なものになるのではと懸念する声もあります
「アメリカ・ファースト」を訴えるトランプ氏の政策は、日本に変革を求めるものともなり、結果として、日本の自立、成長を促すことにつながるのではないかと思います。
日米同盟をめぐっては、米側にかねて「安保ただ乗り論」があることも踏まえ、同盟の意義、役割についてトランプ氏に理解を求めながらも、日米安保の双務性を高め、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保すべく、同盟強化を図るべきです。
併せて、中国や北朝鮮の軍事的脅威が高まるなか、“トランプ大統領”の誕生をきっかけに、日本の安全保障を米国に頼りきる状況から脱却し、自分の国は自分で守るという、当たり前の国家としての体制整備を急がねばなりません。国防の手足を縛る憲法9条の改正は当然のことです。併せて、日本への侵略行為を押しとどめるため、抑止力を抜本的に強化すべく、敵基地攻撃能力の保有や、トランプ氏が以前示唆したような日本の核装備も選択肢から排除すべきではないと考えます。
また、トランプ氏とロシアのプーチン大統領が電話会談で米露両国の関係改善で一致しました。米露の関係が深まることは、中国への牽制(けんせい)にもつながるでしょう。加えて、来月のプーチン大統領の訪日で、膠着(こうちゃく)状況にある北方領土問題の進展が期待されるなか、米露関係の雪解けは、日本には追い風となるとの見方もあるだけに、トランプ新政権の外交手腕や政策には注目したいと思います。
--環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、トランプ氏は一貫して反対を表明するほか、中国などからの輸入品には高い関税を課す考えを示しています
私たち幸福実現党は、TPPを推進すべきと一貫して主張してきました。TPPをてこに構造改革を進め、日本経済の成長力を強化するとともに、アジア太平洋地域に日米主導の経済秩序を構築することで、中国包囲網を形成しようとの狙いからです。
トランプ氏がTPPに反対し、中国などに高関税を課そうとする背景には、米国経済の立て直しに加えて、関税を外交上の一つの武器として使うことによる、トランプ氏なりの対中抑止策としての意味合いがあるのかもしれません。
トランプ氏は、TPPだけではなく、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しも唱えていることから、保護主義の台頭による貿易戦争を危惧する向きもありますが、いずれにせよ、米国の批准抜きでは、TPPが暗礁に乗り上げることを避けられません。米国の新体制との意思疎通を図りながら、日本の通商戦略の見直しを行う必要があると思います。
--「経済成長を加速させ、最強の経済をつくる」というトランプ氏は経済政策として、連邦法人税を35%から15%に引き下げるほか、規制緩和などを主張しています
トランプ氏は大幅減税による経済活性化、雇用拡大を訴え、年平均3.5%の成長率を達成し、4%へと高めることを表明しています。「小さな政府」を志向したレーガン大統領にトランプ氏をなぞらえる向きもありますが、幸福実現党もその政策の方向性に賛同します。
わが党も「安い税金」「小さな政府」を志向しており、民間の富を政府が税金として召し上げるのではなく、減税や規制緩和により民間の自由を高めることで、経済成長が促され、雇用拡大を図ることもできると考えています。
一方、安倍政権は経済界に賃上げを要請しているほか、内部留保課税なども検討しているようですが、民間へ介入し、統制を強める国家社会主義的な手法では、経済成長の原動力である民間の活力を弱めてしまい、結果として、国力低下をもたらすだけです。
大胆な減税による内需拡大、規制の見直し、不要な法律の廃止など、幸福実現党が標榜(ひょうぼう)する「自由の大国」「自由からの繁栄」を目指した政策遂行こそが、この国には必要とされていると確信します。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。
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