歳出増も税収下ぶれ 国債増発の恐れ 予算編成の焦点に

予算編成

 25日に示された平成29年度予算編成の基本方針は、経済成長と財政健全化を両立する姿勢を示した。ただ、安倍晋三政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向けた施策など歳出圧力は強い。企業業績悪化で税収が減る恐れがある中、政権発足以降、4年連続で減らしてきた国債を増発して財源を賄う可能性も出ている。

 29年度予算の概算要求では一般会計総額が101兆4707億円に上り、3年連続で100兆円の大台を突破。財務省は年末にかけた各省との折衝を通じ、5兆円前後の圧縮を目指す。

 だが高齢化で社会保障費の伸びは続き、1億総活躍関連では子育て・介護の受け皿整備や返済不要の給付型奨学金の創設など歳出項目が並ぶ。成長戦略を支える人工知能(AI)などの研究開発費も求められる。

 一方、アベノミクスを背景に順調に増加が続いてきた税収には変調の兆しがみえる。年初からの円高や新興国経済の減速で、輸出企業を中心に業績が悪化し、28年4~9月期の税収は7年ぶりに前年割れした。

 足元では円安が進んでいるものの、「29年度に税収が伸びるかは見通せない」(財務省幹部)状況だ。

 安倍政権は新規国債発行額を4年連続で減らし、28年度当初予算では34兆4320億円にとどめた。だが、29年度の税収が低迷すれば、それをカバーするための国債を増発し、政権で初めて当初予算ベースで前年度の発行額を上回る恐れがある。

 国債発行が増えると、財政再建の取り組みが遅れかねない。財政の持続可能性を確保することは、社会保障などの制度を安定させ、国民や企業の消費や投資を活性化させることにつながる。それだけに、歳出は必要なものに絞り込み、財政規律との両立を図ることが欠かせない。(中村智隆)