メリハリ効いた予算編成に 諮問会議 17年度基本方針、首相に答申

 
経済財政諮問会議に臨む(左から)石原伸晃経済再生担当相、安倍晋三首相ら=25日午後、首相官邸

 政府の経済財政諮問会議は25日、安倍晋三首相に「2017年度予算編成の基本方針」を答申した。財政健全化路線を堅持しつつ、子育て・介護や研究開発など日本経済の成長に資する重要政策課題に重点的に支出する「メリハリの効いた予算編成を目指す」と明記した。政府は基本方針を29日に閣議決定し、同方針に基づき12月の予算編成を本格化する。

 また安倍首相は、薬価の50%引き下げが決まった高額がん治療薬「オプジーボ」を念頭に、薬価算定制度の抜本改革を進めるよう関係閣僚に指示した。

 予算編成の基本方針では、前年に続き「経済再生なくして財政健全化なし」を掲げ、名目国内総生産(GDP)600兆円の達成と、20年度の財政健全化目標の達成を目指すとした。

 さらに日銀の金融緩和だけではデフレ脱却が難しくなっていることを念頭に、「金融政策に成長志向の財政政策を上手く組み合わせることに留意する必要がある」ともした。

 成長の観点からは「子育て・介護や成長戦略の鍵となる研究開発など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じる」と指摘。財政健全化については「経済・財政再生計画」の歳出改革などを「着実に実行する」とし、取り組みを予算に反映。さらに厳しい財政状況を踏まえ歳出全般に「聖域なき徹底した見直しを推進する」とした。

 また民間議員が薬価制度に関し、厚労省と連携して年内に抜本改革の基本方針をとりまとめるべきだと提言。

 薬価算定の透明化に向けた製造原価の公表義務づけや後発医薬品の薬価引き下げ、「2年に1回」となっている薬価改定を「毎年」とすることなどを提言。安倍首相はこれを踏まえた対応を指示した。

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 ■「2017年度予算編成の基本方針」ポイント

 ・アベノミクスにより、国内総生産(GDP)が増加し、雇用・所得環境は着実に改善し、経済の好循環が生まれている

 ・経済の先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響などに留意する必要がある

 ・引き続き「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、600兆円経済の実現と20年度の財政健全化目標の達成を目指す

 ・アベノミクス「新三本の矢」を一体的に推進し、日本経済の持続的拡大均衡を目指す

 ・国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らむなど、日本財政は引き続き厳しく、歳出改革を進める

 ・17年度予算編成に向け、構造改革は無論、金融政策に成長指向の財政政策を上手く組み合わせる

 ・財政健全化の取り組みを進める一方、子育て・介護や研究開発など重要な政策課題について必要な予算措置を講じるなどメリハリの効いた予算編成を目指す

 ・東日本大震災、熊本地震など各地の災害からの復興を進める

 ・「経済・財政再生計画」に掲げる歳出改革を実行し、取り組みを的確に予算に反映する

 ・歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを進める

 ・歳出改革は、ワイズスペンディング(賢い支出)の考え方に立って、公的サービスの「産業化」「イノベーション」などの取り組みを推進する

 ・指標や分析のオープンデータ化を積極的に進め、政策効果の測定につながる統計などの充実や早期公表に努める