自民税調が税制改正素案、あしなが控除は見送り 働き方改革実施企業を支援
自民党税制調査会は29日、幹事会を開き、2017年度税制改正の素案を示した。女性の社会進出を促す「働き方改革」実現に向け、所得税の配偶者控除の見直しを柱に、設備投資や賃上げに取り組んだ企業への減税措置など景気を後押しする政策を盛り込んだ。与党はこの素案に沿って議論を進め、12月8日をめどに税制大綱をまとめる。
この日は、省庁や関係業界の要望の是非を協議。待機児童解消に向け、社員らの子供を預かる「企業主導型保育所」について、設置する企業が支払う固定資産税などを半分に減らすこととした。
若年層や投資初心者の長期投資を促すため、小口の株式投資を優遇する少額投資非課税制度(NISA)に長期積立型の新枠を創設。中小企業の後継者が株式を受け継ぐ際にかかる相続税などを軽減する「事業承継税制」の要件緩和や、中古住宅をリフォームした場合の減税も拡充する方向だ。
太陽光発電などに投資するファンドの法人税非課税も3年間延長。軽井沢スキーバス事故を受け、安全性の高い新型バスを導入した事業者への減税措置を創設する。
ただ、今回の税制改正で焦点となっている配偶者控除やビール類の酒税一本化などの主要項目は、政治判断を要する案件として議論を継続することを決定。配偶者控除については、妻の年収要件を現行の「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げる案を軸に調整する。
また、エコカー減税の対象車の縮小や、賃上げした企業への法人税減税の拡充などの案件も、省庁や業界団体を巻き込んだ対立が激化しており、結論を得るまでに厳しい折衝が続くとみられる。
一方で、貧困家庭の子供が篤志家から教育資金を送られた場合に、贈与税を非課税にする措置は見送る。贈与対象を貧困の状況にある血のつながらない子供にも広げ、「あしながおじさん」のような篤志家の支援を後押しする狙いだった。
ゴルファーが支払う地方税「ゴルフ場利用税」の廃止や、ベビーシッター代や仕事の都合で別居した夫婦の旅費などを所得税の控除対象とする要望なども見送る。
■2017年度税制改正の素案
≪実現の見通し≫
▽配偶者控除の対象を拡大
▽企業主導型保育所の固定資産税など半減
▽研究開発減税の対象をサービス開発に拡大
▽賃上げした中小企業の法人税減税を拡大
▽少額投資非課税制度(NISA)に長期積立枠創設
▽ビール類の酒税を一本化
▽日本酒とワインの酒税を一本化
▽訪日客が酒蔵などで酒類を購入すれば酒税を免除
▽タワーマンションの固定資産税を高層階で増税、低層階で減税
≪見送り≫
▽保育所として貸し出している敷地を相続、贈与後も貸与し続ければ非課税
▽貧困家庭への教育資金贈与を非課税
▽ゴルフ場利用税の廃止
≪今後の焦点≫
▽エコカー減税の燃費基準を厳しくして対象車種を絞り込み
▽中小企業の新規設備に対する固定資産税減税の対象を拡大
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