横浜か大阪か、それとも…開業は東京五輪後に イチから法案を読み解く
カジノ解禁法案カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が6日の衆院本会議で可決、通過し、14日までの今国会で成立する見通しだ。経済への波及効果が期待されるIRだが、今後は政府がさまざまな法整備を進める必要があり、実現はまだ先の話となる。
Q IR法案は、どんな内容なのか
A IRとは大型ホテル、国際会議場、飲食店、商業施設などが一体となった施設群を指し、その一部にカジノも含まれる。
Q すぐできるのか
A 今回の法案はIRの整備推進を政府に求め、方針を示しているにすぎない。政府、自治体、民間事業者の取り組みを具体化させる号砲の役割だともいえる。新たな法整備が必要で、開業は先の話だ。
Q 必要な法整備とは
A IR推進法施行後1年以内をめどに、政府が具体策を定めた実施法案を制定する。運営事業者の選定基準や手続き、ギャンブル依存症対策、カジノを規制する政府の管理委員会の業務など、実施法で定めるべき内容は複雑だ。
Q 開業までどれぐらいの時間がかかるのか
A 推進派には2020年東京五輪・パラリンピックまでに開業させ、相乗効果を生む狙いもあった。しかし、実施法案策定や国会審議、地域や事業者の選定、施設の建設の時間を考えると五輪に間に合いそうにない。現在は「五輪後の集客対策」の側面が強い。
Q 民進党や公明党内にギャンブル依存症の増加を懸念する声があるが
A IR実施法で依存症対策を講じる。例えばシンガポールでは、利用客が家族の申請によりカジノへの立ち入りを禁止される。入場回数制限を設けている国もある。カジノは127カ国で認められている。政府は海外の事例を参考にしながらカウンセリングも含めた対策を練ることになる。国民の懸念が強いテーマなので、実施法案では十分な国会審議が必要だ。
Q IRは、どこに整備されるのか
A 住民の理解を得た自治体が立候補する「手挙げ方式」で申請を受け、国が特別に認定した区域につくられる。IR議連によると、最初の認定地域は2、3カ所とし、効果を検討した上で増やすか判断すべきだとしている。地元経済への波及効果の期待が大きく、北海道や横浜市、大阪府、長崎県などが誘致に名乗りを上げている。
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