小規模ワイナリーの減税拡充 17年度与党大綱明記へ、増税影響緩和

 

 政府、与党は、10年がかりで実施する酒税の税率一本化でワインが増税となることを見越して、国内の小規模なワインメーカーに支援策を講じる方針を固めた。小規模事業者に対する現行の酒税軽減措置について減税率の拡充を検討し、増税が始まる2020年度に適用する方向。経営基盤の弱いメーカーや、ワインを生かした地域振興への影響を和らげる。

 与党の17年度税制改正大綱に「小規模メーカーに対する措置を検討する」との方針を明記する。

 政府、与党は税負担の公平化を狙いビール類の税率を26年10月に一本化する。醸造酒では日本酒の税率が1キロリットル当たり12万円、ワインは8万円に分かれている現状を見直し、20年10月と23年10月に1万円ずつ日本酒を減税、ワインは同額ずつ増税して10万円に統一。26年10月に酎ハイなどもそろえる予定だ。ワインの増税幅2万円を720ミリリットル瓶に換算すると約14円になる。

 現行の減税制度はワインの場合、前年度の出荷量が1000キロリットル以下のメーカーには200キロリットルまでの酒税の20%、1000キロリットル超~1300キロリットルなら10%を軽減している。この減税率の上乗せなどを検討し、早ければ17年末に詳細を決める。

 国税庁によると、15年度末の国内ワイナリー数は261事業者(280カ所)で山梨、長野両県や北海道に多い。製造量が年100キロリットルに満たない業者が約8割を占める。

 日本と欧州連合(EU)が交渉中の経済連携協定(EPA)が締結されれば、関税の引き下げで輸入ワインが安くなり、国産ワインは苦境に立つ懸念もある。最近は、国内栽培のブドウだけで醸造した「日本ワイン」のブランド化といった動きもあり、地域の取り組みに水を差さないようにする。