IR法案、衆院通過 カジノ整備、旅行消費活性化の切り札 地方誘客が課題
IR法案の衆院通過で、政府は観光立国の推進に向け弾みをつけたい考えだ。景気の足踏みが続く中、訪日外国人旅行者による需要が高まる観光分野は数少ない成長産業。国内総生産(GDP)600兆円の達成に向け、観光消費の活性化にも一役買う可能性が高いIRだが、効果の最大化にはきめ細かな政策運営が求められる。
「インバウンドの目標を達成するのにプラスだ」
石井啓一国土交通相は6日の本会議終了後、IR法案の意義を強調した。
2013年からの2年間で訪日客数は約1000万人から倍増し、訪日客の旅行消費額も2倍以上となる約3兆5000億円に達した。自動車部品の輸出額にも匹敵する規模で、3月にまとめた観光ビジョンには、20年までに8兆円という数値目標が示されている。
だが、最近は伸び悩みが目立つ。7~9月の旅行消費額は前年同期比2.9%減。牽引(けんいん)していた中国人客の「爆買い」は円高や中国政府による関税引き上げなどの規制強化でなりを潜めている。さらに、消費行動も、リピーター客の増加で食や体験型など買い物以外にシフトしている。
こうした中、政府はカジノ整備を旅行消費活性化の切り札と期待する。10年に導入したシンガポールではGDP成長率が15%まで上昇しており、大和総研の米川誠主任コンサルタントは「日本国内3カ所の整備で、年間約9500億円の旅行消費押し上げが期待できる」と話す。
一方、カジノ整備はこれまでの観光政策と相反する側面もある。政府は訪日客の地方誘致を強化しているが、カジノ誘致に前向きな自治体は東京や大阪、横浜など都市部が多い。米川氏は「クルーズ船の寄港地との組み合わせなど、地域との親和性や地方創生も踏まえた政策にしていくべきだ」と指摘している。(佐久間修志)
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