GDP、新基準で31.6兆円上乗せ 600兆円達成へアクセル
内閣府は8日、国連の最新基準を使って国内総生産(GDP)の計算方法を変更した結果、平成27年度の名目GDP確報値が532兆2千億円になったと発表した。旧基準のGDP速報値から31兆6千億円かさ上げされた。安倍晋三政権が目指す「32年ごろの名目GDP600兆円」へ近づいたが、達成には、引き続き年2~3%の高い成長率が求められる。(山口暢彦)
27年度確報値の増額分中、純粋な新基準対応分は24兆1千億円。最も大きかったのは、企業による研究開発費の「投資」への算入で19兆2千億円。国が購入する戦車や弾薬など6千億円の防衛装備品も投資に加えられた。
内閣府が過去22年分についても新基準で算出したところ、名目GDPはいずれの年も増額。研究開発費は6年度13兆円、16年度16兆円、26年度18兆5千億円と「着実に増えている」(内閣府)。
新基準で、研究開発費が投資に加算されたのは、企業の国際競争が激化する中、人工知能(AI)など研究開発投資の重要性が高まったためだ。
日本企業ではトヨタ自動車が今年度、研究開発費に過去最大の1兆700億円を投じる。ハイブリッド車や電気自動車など環境対応車の開発に取り組む。
AIに注力するNECは、30年度までの中期経営計画で成長投資に2千億円を確保した。
資生堂は10月下旬、世界最大級となる研究開発拠点を横浜市で着工。投資額は300億~400億円に上る見通しだ。
日本は、少子高齢化で労働力人口が減る構造的課題を抱えており、生産性の向上が課題だ。技術革新を生み出す研究開発投資は解決の大きなカギとなる。
安倍首相の問題意識も強く、10月の経済財政諮問会議では官民一体での研究開発投資拡大を指示したほか、29年度予算編成の基本方針でも重点施策の一つに挙げた。
一方、内閣府が同時に発表した28年7~9月期の実質GDP改定値は年率で前期比1.3%増となり、速報値の2.2%増から下方修正された。設備投資の下振れなどが影響した。プラス成長は3四半期連続。
新基準への切り替えで7~9月期の名目GDPは年換算で537兆3千億円となり、四半期ベースの年換算値では過去最高となった。
関連記事