与党税制大綱 賃上げ・投資へ 中小減税手厚く 優遇措置でアベノミクス再加速
2017年度税制改正では、中小企業を中心に企業の賃上げや研究開発投資を促すための減税を手厚くした。円高などで企業収益に陰りが見える中、“メリハリ”の効いた優遇措置で企業の投資意欲を高め、足踏みするアベノミクスの再加速を図る狙いがある。
賃上げした企業の法人税を減額する「所得拡大促進税制」は、賃上げ率が高い企業ほど減税額を拡大する仕組みに変更。前年度比2%以上と大企業並みの賃上げ率を達成した中小企業は、賃上げ総額の22%分を法人税から差し引く。
企業の研究開発を減税で支援する制度は、投資の割合に応じて減税率が高くなる仕組みに見直す。中小企業で開発費用の最大17%(現行12%)、大企業で最大14%(同8~10%)を法人税から差し引く。
中小企業の投資を活発にするため、卸・小売業やサービス業が生産性向上につながるIT(情報技術)やロボットを導入した場合も、法人税や固定資産税の優遇が受けられるように対象を拡大する。
安倍晋三政権は、賃上げを原動力に消費拡大を促す「経済の好循環」を目指す。政府自ら旗振り役となり、所得拡大促進税制などで企業に賃上げを促してきた。
ただ、今年の春闘は大企業の多くが3年連続の賃上げに踏み切ったものの、伸び率は鈍化。中小企業との賃金差も縮まらない。こうした状況を踏まえ、今回の税制改正は、労働者の約7割を占める中小企業に焦点を当て、全体の底上げを図る施策に転換。労働生産性の向上に向けた税制も打ち出した。
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■企業の競争力強化を後押しする減税措置
≪研究開発≫
・大企業は研究開発費の6~14%、中小企業は12~17%を法人税から差し引く
≪設備投資≫
・中小企業の設備投資の減税対象を、ITやロボットなどを使ったサービス分野に拡大
・中小の卸・小売りや介護などサービス業を対象に、新規設備導入で固定資産税を3年間半減
≪賃上げ≫
・賃上げ率が前年度比2%以上の中小企業は法人税の減税率を22%まで拡大
≪事業再編≫
・企業が特定の事業部門や子会社を独立させる際にかかる法人税をゼロに
≪事業承継≫
・中小企業の後継者が株式を受け継ぐ際に相続税や贈与税を優遇する措置の基準を緩和
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