対中抑止へ 日露関係強化を 幸福実現党党首・釈量子
太陽の昇る国へ--ロシアのプーチン大統領の訪日が迫っています
本年の5月などの日露首脳会談では、領土問題を含む平和条約交渉をめぐって、安倍首相は“手応え”を強調していましたが、ロシアとの関係改善を示唆するトランプ氏の勝利で風向きが変わったことは確かでしょう。日露接近を警戒していた米国の態度が軟化することで、北方領土交渉に追い風となるとの見方もありましたが、欧米による経済制裁が緩和される可能性が出てきたことで、ロシア側にとっての日本の重要感は低下しつつあるのが実情だと思います。ロシアが経済的に困窮するなか、経済協力を誘い水に領土問題を動かそうという日本側の思惑は外れつつあるのではないでしょうか。
ロシアと欧米の懸け橋となるような外交を日本は展開すべきであったのであり、日本政府が対ロシア制裁に同調したのがそもそもの間違いだったと言えると思います。
--ロシアが択捉島と国後島に地対艦ミサイルを配備するなど、ロシア側の北方領土をめぐる真意は不透明です
もとよりロシアにとってオホーツク海は軍事的な要衝です。核戦略上の拠点であるのはもちろん、中国が海洋進出を図るなか、その警戒からも北方領土は重要であるだけに、領土返還を巡る状況は楽観視できないと思います。
--日露関係についての考えは
もちろん、北方四島は日本固有の領土にほかなりません。元島民の方々がご高齢となられており、一刻も早い北方領土の返還が望まれています。二島先行返還なども取り沙汰されてきましたが、北方領土の日本帰属を前提としつつも、四島の一括返還にこだわらず、領土問題進展に向けた努力を進めるべきだと考えます。
同時に、領土問題ばかりでなく、日本にとって、ロシアとの関係強化は、安全保障上も重要であることを忘れてはなりません。北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射、中国の台頭など、アジア太平洋地域の安全保障環境が悪化の一途をたどるなか、国家国民を守り抜くには、日米同盟を強化しながらも、日本に“自立”を促す“トランプ政権”の動きも見据え、戦略的な外交・防衛の取り組みを進めなければなりません。その際、ロシアとの関係強化による、中国、北朝鮮への牽制(けんせい)を強めるべきだと考えます。
また、資源に乏しい日本にとって、エネルギー確保の面でも日露関係強化が肝要です。シーレーンの不測の事態も想定し、資源調達の多様化を図るべきであり、ロシアとのエネルギー資源外交の積極展開を推進すべきです。
領土問題が解決できなければ、経済協力をロシアに「食い逃げ」されて終わりだとの批判もありますが、そもそも短期的な政策ではなく、北海道とサハリンを鉄道で結ぶことや、ロシアとの貿易総額の大幅な拡大など、日露双方の発展に資する、中長期の視点に立った協力構想を打ち出すべきだと思います。
領土の返還を目指しつつも、日本にとって最大の外交課題というべき対中牽制を図るべく、領土問題をいったん棚上げしてでも、まずは経済や安保面での日露関係強化、平和条約締結を急ぐべきです。
--日本の外交に関しても、トランプ氏勝利が大きな影響を与えつつあることは確かです
外交面はもちろん、経済面などでもしかりです。「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱を正式表明しましたが、日本として米国の政策変化を踏まえた対応が必要です。また、トランプ氏の掲げる大幅減税や1兆ドルのインフラ投資などを市場が好感していますが、これはわが党が訴えてきた政策と考え方を同じくします。
アベノミクスの失敗で、日本経済には停滞感が漂っていますが、景気の足かせとなる消費税の5%への減税や法人実効税率の大胆な引き下げをはじめ、経済立て直しに向けた手立てを講じるべきです。日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、これ以上の経済力低下を許せば、近隣国をつけあがらせ、結果として、さらなる危地に日本を追い込むことにもなりかねません。国益を確保する、いわば「日本ファースト」の政策遂行が肝要だと考えます。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。
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