「歳出特別枠」廃止で調整 財務省 地方交付税は15兆円超に

 

 財務省は12日、国が地方の歳入不足を補うために配る地方交付税交付金で、リーマン・ショック後の景気対策として上積みしてきた「歳出特別枠」を2017年度に廃止する方向で総務省と調整に入った。16年度は4500億円を計上したが、危機対応の必要性がなくなったと判断。17年度の地方交付税は一般会計で15兆円超となる見通し。総務省は前年度比7000億円増を求めており、財務省はできるだけ圧縮したい考えだ。

 歳出特別枠は09年度に創設され、計上額は一時1兆5000億円に達した。ただ、景気の持ち直しに伴い、地方税収が回復。このため財務省は、16年度は前年度比4000億円減の4500億円に抑制した。

 総務省は17年度予算の概算要求で、地方交付税について、16年度比7307億円増の16兆118億円を要求している。財務省は役割が終わったとして歳出特別枠を廃止するなどして、数千億円規模を圧縮したい考えだ。

 歳出特別枠の廃止について、総務省は「16年度から据え置いたままというわけにはいかないだろう」(幹部)と、廃止・縮小を受け入れる考えを示す。

 ただ、地方交付税全体の減額には反発しており、地方側も11月下旬の全国知事会議で安倍晋三首相に財源確保を要請。安倍首相も「地方が自由に使える財源をしっかり確保することが重要だ」と一定の理解を示した。

 一般会計予算で地方交付税は15%超を占めており、17年度予算案編成に大きく影響する。年初から続いた円高の影響により企業業績が伸び悩み、法人税を中心に税収増が期待しにくい中、地方交付税が大幅に増えることになれば、新規国債の発行を増やして歳入不足を補わなければならなくなる可能性もある。