ロシア“孤立”脱却を誇示 プーチン氏、領土問題は強硬な立場

 

 15日からの日本訪問を前に北方領土問題で厳しい姿勢を見せたプーチン・ロシア大統領は、今回の訪日を通じ、クリミア併合以降に深まった国際的孤立からの脱却を誇示する思惑だ。日本は、シリアやウクライナをめぐる問題で厳しい要求を突きつけないと見越し、先進7カ国(G7)に“友人”がいることをアピールする戦略を描く。平和条約締結交渉を続ける意思は示しつつ、日本の経済協力という「成果」を最大化する構えで首脳会談に臨むとみられている。

 ロシアは2014年のウクライナ南部クリミア半島併合や同国東部への軍事介入により、欧米日から経済制裁を科された。プーチン氏の外国訪問はそれ以降、中国や近隣諸国に集中し、多国間会合を除けば主要な民主主義国をほとんど訪れていない。北方領土交渉や中国抑止という課題を抱える日本は、G7の切り崩しを狙うプーチン氏にとって「都合のよい訪問先」(露観測筋)と映っている。

 安倍晋三政権は、国内指導力と支持率の高い「強いプーチン政権」との間で、領土問題を解決しようと意欲を燃やしてきた。プーチン氏は「平和条約締結後に色丹、歯舞を引き渡す」とした日ソ共同宣言(1956年)を「有効」と認めている。そのため日本外交は、同宣言を基盤にし、国後と択捉を含む北方四島の帰属確認につなげる交渉を模索している。

 ただ、最近のプーチン氏は同宣言について、「2島引き渡しの時期や条件、その後の主権は記されていない」と重ねて発言。「2島」返還ですらも細部は決まっていないと主張し、交渉のハードルを引き上げてきた経緯がある。訪日前のインタビューでも、北方四島の帰属問題は「共同宣言の枠を超えた全く別の話だ」と一蹴してみせた。

 日露の協議する北方領土での「共同経済活動」についても、露高官は「ロシアの法に基づかねばならない」との立場を崩しておらず、日本側には受け入れられない状況が続いている。

 安倍政権の期待するプーチン氏の「強さ」は、強硬な対外政策に根ざしているのが実情だ。欧米を敵に回し、クリミア併合という「領土拡張」を行ったことで、低下傾向にあったプーチン氏の支持率は8割超に跳ね上がった。こうして「愛国機運」を焚きつけてきたプーチン政権が、領土問題で「弱腰」を見せられる状況にはない。(モスクワ支局長 遠藤良介)