日銀短観 大企業製造業6期ぶり改善 円安や海外経済回復追い風

 

 日銀が14日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回の9月調査から4ポイント上昇のプラス10となり、6四半期(1年半)ぶりに改善した。最近の円安や海外経済の持ち直しで、輸出企業を中心に企業心理が上向いた。

 一方、先行きはトランプ次期米大統領の具体的な政策が不明確なため、中小企業を含めて軒並み悪化した。企業は慎重姿勢を崩していない。

 菅義偉官房長官は同日の記者会見で「景気は緩やかな回復基調にあるが先行きには慎重な見方もある。今後の動向を注視する」と述べた。最近の大企業非製造業の景況感は前回から横ばいのプラス18。個人消費が伸び悩んで小売りが4ポイント悪化したが建設は改善。中小企業の全産業は2ポイント上昇のプラス2だった。

 製造業では中国向けの輸出が堅調な汎用(はんよう)機械や電気機械に加え、原油価格の上昇で石油・石炭製品などの改善が目立った。

 雇用人員判断は全規模全産業でマイナス21と1992年2月以来の不足幅となった。

 3カ月後を示す先行きの景況感は大企業製造業が2ポイント低下のプラス8で、3四半期ぶりの悪化を見込む。非製造業は2ポイント悪化し、中小企業の全産業も5ポイント低下した。

 2016年度の設備投資計画は、大企業全産業(ソフト除く)が前年度比5.5%増で、前回調査から下方修正した。大企業製造業の16年度の想定為替レートは1ドル=104円90銭だった。