日本企業の極東進出加速も ロシアは「中国侵攻」に危機感
日露首脳会談を受けて、ロシア極東地域への日本企業の進出が今後加速しそうだ。16日に両政府や企業が交わす合意文書でも医療、農林水産、空港など多様な分野の協力案が盛り込まれる見通し。プーチン大統領は訪日前のインタビューで中国を「真の友好」と表現したが、人口の少ない極東が中国の影響下にのみ込まれる危機感もあるとされ、日露が結びつきを強める象徴的な地域になる可能性がある。(田辺裕晶)
極東では今後、日本企業が多数参加して日本式の先端医療施設を整備し、質の高い医療を提供する方向で調整している。ハバロフスクで「植物工場」を整備するほか、安価で良質な木造住宅も供給する。
多額の投資が必要なインフラ整備でも、ハバロフスク国際空港の近代化に参画し、ボストチヌイ港の石炭積み出し能力増強など港湾の機能強化に取り組む。
ロシアのガルシカ極東発展相は「お互い尊敬し、実りある経済交流を行えば、長年抱えた複雑な係争問題の解決にもつながる」と述べ、北方領土問題を解決するためにもこうした経済協力が必要だと力説する。
インドの2倍近い広さがある極東連邦管区の人口は630万人程度にとどまるのに対し、国境の南側に接する中国東北部の遼寧、吉林、黒竜江の3省は計約1億人になる。ロシアの調査機関は、中国人の流入が今後も続けば、今世紀半ばまでにロシア人を抜き極東で最大の民族になると予測している。
ロシアにとって中国は最大の貿易相手国だが、プーチン大統領は日本からの投資や技術移転を積極的に受け入れることで、中国の極東進出を牽制(けんせい)し、国土の均衡的な発展を図る構えだ。
日本企業にとっても、極東は地理的に近く、有力な進出先になる。ただ、これまではロシアのあいまいな法解釈や煩雑な行政手続きなどが敬遠され、「輸出や投資に慎重な企業が多い」(貿易筋)状況だった。
ロシア側は支援センター設立の方針を打ち出すなど日本企業受け入れの環境整備に乗り出したが、経済交流を加速するには政府間で企業活動を後押しする仕組み作りが必要になる。
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