もんじゅ廃炉きょう決定困難 政府、地元に伝達 費用30年で3750億円超
政府は19日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の取り扱いに関する政府方針案を示し、「運転再開はせず、今後、廃止措置に移行する」と明記した。同日開かれた「もんじゅ関連協議会」で県側に説明した。だが、西川一誠知事は「到底受け入れられない。見直しを強く求める」と強く反発し、政府側は改めて回答することになった。
政府は当初、20日にも原子力関係閣僚会議を開き廃炉を正式決定する予定だった。だが、西川知事は「もんじゅに対する国としての十分な反省が示されておらず廃止にはさらなる総括が必要だ」と指摘。決定時期は後ずれする見通しだ。
関連協議会には世耕弘成経済産業相と松野博一文部科学相、西川知事が出席。政府側はもんじゅを再開するには新規制基準に適合させるため最低でも8年かかり、5400億円以上の経費が必要になることなどを理由に廃炉方針を伝えた。
文科省が19日示した試算では、廃炉作業は2047年までかかり、施設の解体費や工事中の維持管理費などで総額約3750億円超の費用が必要になるという。
廃炉後には、周辺地域を高速炉の研究開発や原子力の研究・人材育成の中核的拠点と位置付け、新たな試験研究炉を福井県内に設置するほか、もんじゅの施設を引き続き活用し研究に生かす考えも明らかにした。
一方、19日に併せて開いた「高速炉開発会議」では、もんじゅに代わる高速炉開発の方針が決まった。
政府は核燃料サイクル政策の推進を堅持する。フランスの実証炉「ASTRID(アストリッド)」との共同研究や、もんじゅの前段階の高速実験炉「常陽」(茨城県)などを活用し、原型炉であるもんじゅの次段階に位置する実証炉の開発を進める。年明けから工程表の策定に着手し、18年をめどにまとめる。
【用語解説】高速炉
核分裂反応を起こすために、飛ぶスピードが速い「高速中性子」を使う原子炉の総称。炉心の熱を取り出す冷却材に水を使う一般の原発(軽水炉)と異なり、中性子を減速させないために液体ナトリウムを使う。炉心の周りに増殖用の燃料を置き、使った以上の燃料を生み出すものを「高速増殖炉」と呼ぶ。燃料を組み替え、放射性廃棄物を減らす研究にも使われる。フランスは廃棄物対策に主眼を置いて研究開発を行うが、ロシア、中国、インドなどは燃料増殖志向で開発を進める。
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