AIIB発足1年、人材確保に苦労 9事業17億ドル超を融資

 

 中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が、25日で発足から1年となった。7カ国への資金提供を決め、多くは他の国際金融機関と組んで協調姿勢を打ち出して始動した。新たに加盟を申請する国は増えているが、人材確保には苦労している。

 パキスタン中部パンジャブ州ショルコット。黄色いカラシナの花が広がる田園地帯で12月中旬、高速道路を64キロメートル延伸する工事の準備が始まっていた。

 AIIBが第1弾案件の一つとして1億ドル(約117億円)を融資。地元住民は「病院や市場がある都市へのアクセスが良くなる」と期待を寄せた。ただ、現地当局によると、工事を受注したのは中国の建設会社で、現場には約300人の中国人の技師などが派遣される予定だという。

 この道路は中国西部からインド洋へ抜ける「中国・パキスタン経済回廊」の一部となる。中国が各国との連携強化を狙う現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に沿った事業であることも選定理由だとみられる。

 AIIBは既に、バングラデシュの電力網整備やインドネシアの貧困地区改良など、7カ国の計9事業に総額17億3000万ドルの融資を決めた。

 ■高まる米の加盟観測 日本は戦略再考も

 単独融資は3件で、残りは日米が主導するアジア開発銀行(ADB)や世界銀行などとの協調融資だ。北京の国際金融筋は「既存の国際機関と競合せず、共存していく姿勢をアピールする狙いがある」と分析。同時に「単独で融資を審査する人材が集まっていない」ことも要因だと指摘する。

 中国メディアによると、発足当初の57カ国に加え、新たに25カ国以上が加盟申請中で、ADBの67カ国・地域を上回る見通しだ。

 だがアジア各地に拠点があり、3000人規模の職員を抱えるADBに対し、AIIBの陣容は現時点で「90人程度」(国際金融筋)。北京で本部ビルの建設が進むが、海外拠点はない。金融関係者は「他の国際機関と比べて給与などの待遇が見劣りする」とみる。

 米国のトランプ次期政権の出方も注目される。8月にはカナダが参加を表明し、先進7カ国(G7)で参加を見送っているのは日米だけとなった。香港紙によると、トランプ氏側近は米国が加盟していないのは「誤り」と指摘。米国が加盟するとの観測も高まった。

 中国の張高麗副首相は9月、日本の財界訪中団に対して、日本の参加を呼び掛けた。米国の出方によっては、AIIBと距離を保ってきた日本も戦略再考を迫られそうだ。(北京 共同)