日EUのEPA交渉「刺激に」 米国の保護主義に翻意促す 自由貿易体制立て直しなるか
トランプ次期米大統領が、相手国の損失を前提に自国の利益を追求する保護主義的な政策を前面に出すなか、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が世界の自由貿易体制を立て直すきっかけになるかが注目される。日EUはベルギーのブリュッセルで20日まで首席交渉官会合を開催。難航する関税協議で歩み寄れれば、基本的要素で一致したことを示す「大枠合意」を打ち出す見通しで、交渉は大詰めを迎えている。(田辺裕晶)
「反自由貿易の動きが世界的に出ている中だからこそ、日本がしっかりリードしてEPA交渉をまとめる必要がある」
世耕弘成経済産業相は20日の記者会見でこう述べ、早期の大枠合意に強い意欲を示した。首席会合で大枠合意に向けた環境が整えば、2月にも岸田文雄外相と通商担当のマルムストローム欧州委員の閣僚会合を開く方向で調整している。
EU側はチーズや豚肉、木材などの農産品で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意内容を上回る市場開放を要求。日本側は自動車など工業製品の関税撤廃を求め、農産品開放と交換条件になる見通しだ。
一方、トランプ氏は、TPPを含む多国間の自由貿易協定(FTA)が雇用流出につながると批判し、米国から出た企業には高関税を課すと主張。商務長官に指名されたウィルバー・ロス氏は、域内の関税を撤廃した北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をメキシコとカナダに通知すると表明した。
日本政府は、保護主義に傾く米新政権に翻意を促す構えだが、現時点では交渉の糸口すらつかめない。それだけに、EUとのEPA実現が「トランプ氏への刺激になる」(経済同友会の小林喜光代表幹事)との期待は大きい。
日EUのEPAが実現すれば人口6億人、国内総生産(GDP)で21兆ドル(約2400兆円)の巨大市場が生まれる。「世界中がFTA交渉で様子見に入った」(通商筋)といわれる中で、各国の通商政策に与える影響は大きい。農産品の市場開放には国内で依然強い反発があるものの、大枠合意に向けた政治決断が急がれる。
関連記事