トランプ米新政権が発足 「米国第一あるのみ」と宣言 TPP離脱も表明

 
就任式で演説するトランプ新大統領=20日、ワシントン(ロイター)

 【ワシントン=小雲規生】昨年11月の米大統領選を制した共和党のドナルド・トランプ氏(70)が20日(日本時間21日未明)、第45代大統領に就任し、就任演説で「米国第一(アメリカ・ファースト)あるのみだ」と宣言した。新政権はホワイトハウスのウェブサイト上で、戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱方針を正式表明した。

 曇り空の中、トランプ氏は赤いネクタイにコート姿で就任式典会場に到着。ロバーツ連邦最高裁判所長官の前で聖書に左手を置き、右手を挙げて宣誓を行い、大統領として職務を忠実に遂行することを誓った。

 演説でトランプ氏は、「アメリカ国民は、人々のために国を再建する国家的な取り組みに参加する」と述べた。また、「ワシントンから国民に力を取り戻す」と自らの政権発足の意義を強調した。

 経済面では、「雇用は去り、工場は閉鎖された」と指摘。「すべてはこの瞬間から変わる」として、自らの支持層となった白人中間層を念頭に、経済再生や雇用の改善に取り組むと訴えた。

 また、テロ対策では、「イスラム(過激派)によるテロを根絶させる」と誓った。さらに、「犯罪、ギャングや薬物があまりにも多くの人命を奪った」として、米国内の治安改善に取り組む姿勢も示した。米軍については「悲しいほど劣化している」と述べ、軍の再建に意欲を示した。

 「新しい高速道路、鉄道、空港を全米で建設する」とインフラ整備の力を注ぐと強調した

 トランプ氏は就任初日から、大統領令で選挙戦で打ち出した公約の実現に動き出す意向だ。1期目の大統領としては歴代最高齢。さらに軍務や公職がない初めての大統領でもあり、トランプ政権下の米国は未知の領域に踏み出す。共和党政権は8年ぶり。副大統領にはインディアナ州知事を務めたマイク・ペンス氏(57)が就いた。

 トランプ氏は大統領選を通じて「米国を再び偉大にする」と訴え、製造業の海外流出の抑制や、不法移民問題の解決などを主張し、白人中間層から強い支持を受けて当選した。

 トランプ氏は19日、ニューヨークから厳重に警備されたワシントンに入ったが、就任式をめぐっては、異例ずくめの大統領誕生を象徴する動きもみられた。

 ワシントンでは20日、トランプ氏に抗議する黒い服の一団が店舗の窓ガラスを割るなどして警官ともみ合いになったほか、式典会場周辺にも抗議する人々が集まった。