盗難仏像「対馬に返さぬ」 韓国、地裁が判決 政府側控訴

 

 【ソウル=名村隆寛】長崎県対馬市の観音寺から2012年に韓国人窃盗団によって韓国に持ち込まれた県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」について、所有権を主張する韓国中部、瑞山(ソサン)にある浮石(プソク)寺が像の引き渡しを韓国政府に求めていた訴訟で、大田(テジョン)地裁は26日、請求を認める判決を言い渡した。像は14世紀に浮石寺で作られ、倭寇に略奪されたものだとする寺側の主張が受け入れられた。

 聯合ニュースなどによると、判決は「過去に仏像が略奪や盗難など正常でない形で対馬に渡ったものとみられる」とし、「浮石寺の所有であると十分に認められ、歴史・宗教的価値を考慮し仏像を引き渡す義務がある」とした。地裁は、判決確定前に浮石寺に像を引き渡す仮執行も認めた。

 浮石寺が本来の所有者である証拠は乏しいとの見解を示していた韓国政府は、即日控訴した。

 日本政府が返還を求めている像は、韓国・大田の国立文化財研究所に保管されている。韓国文化財庁は2014年、像が日本に渡った経緯を調査し、「略奪された蓋然性は高いが、断定は困難」と結論付けている。

 像をめぐっては大田地裁が13年2月、浮石寺の申請に基づき、韓国政府による日本への返還を差し止める仮処分を決定している。

 「観世音菩薩坐像」とともに対馬市の海神神社から盗まれた国の指定重要文化財「銅造如来立像」は、韓国検察が「不当な日本への持ち出し」が確認できず、15年に日本に返還された。

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 ◆菅長官「極めて残念」

 菅義偉官房長官は26日の記者会見で、韓国・大田地裁の判決について「極めて残念だ」と不快感を示した。菅氏は「速やかに仏像が日本に返還されるよう、韓国政府側に適切な対応を求めていきたい」と述べた。