インドネシア、メッカ小巡礼「ウムラ」が人気 中所得層の拡大が背景
インドネシアは、イスラム教の聖地メッカ(サウジアラビア)への小巡礼「ウムラ」の旅が流行している。人口2億5000万の9割がイスラム教徒(ムスリム)であることに加え、経済成長により中所得層が拡大していることなどが要因だ。ここ数年は年平均65万人がウムラに出ており、市場規模は年間10億ドル(約1137億円)に達するという。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
ムスリムは体力的、経済的な事情が許せば生涯に1度、巡礼月に大巡礼「ハッジ」でメッカを訪れることが義務付けられているが、ウムラは巡礼月以外の巡礼を指し、義務ではない。
しかし、中所得層が拡大中とはいえ、インドネシアの多くのムスリムにとってハッジはいまだ費用が高額なことに加え、サウジ政府が認めるインドネシアのムスリム受け入れ枠が年23万1000人と少なく、順番待ちが10年におよぶとされる。
こうした事情があり、ハッジには手が届かないまでも経済的に余裕のできたインドネシアのムスリムの間で、ウムラ人気が高まった。
ハッジとウムラを手配する地場民間業者の団体によると、特にここ数年のウムラ巡礼者は増加傾向にあり、2016年は12年比で6割増の81万8000人に達した。ウムラ巡礼者の60%が低価格のパッケージツアーを利用しており、こうした低価格ツアーの増加が市場拡大に一役買っているという。
ただし、これに伴って悪質業者による詐欺行為の横行など、新たな問題も浮上した。
同団体の幹部は、15年10月からのおよそ1年間で1万1000件の詐欺被害があり、メッカからの帰りのチケットがなく置き去りにされたムスリムも1000人ほどいたと指摘。「被害防止のため、料金の下限を1650ドル程度に区切るべきだ」と述べ、政府による規制の必要性を訴えた。
インドネシアは、イスラム教の戒律に沿ったハラール食品やイスラム金融などの分野も拡大が続いている。経済成長に伴う所得水準の上昇も当面継続するとみられており、イスラム関連市場の拡大も続いていきそうだ。(シンガポール支局)
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