経産省、認定後の太陽光増設に規制検討へ 割合で買い取り価格引き下げ

 
FIT制度導入後の買い取り価格と費用の推移

 経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)で、国から認定を受けた後に太陽光パネルだけを増設する「過積載」に対し、規制を設ける方針を検討していることが6日、分かった。過積載は制度上の出力変更には当たらず、年々下落する買い取り価格を維持したまま発電量を増加できるため、高い価格で認定を受けた事業者ほど得をする仕組みとなっている。

 検討する規制案では、認定後に増設した太陽光パネルについて、増設時点の安い買い取り価格を適用。既存設備との割合に応じて、価格を引き下げる。今夏の制度改正を目指す。

 FIT法では、太陽光パネルと、発電した電気を家庭向けに変換する装置のうち出力が低いほうを登録する。出力を増やす場合、その時点の買い取り価格に変更されるが、パネルを積み増しただけでは買い取り価格は変わらない。

 これが「過積載」として問題視されており、太陽光の弱い朝や夕方でも必要な発電量を確保できるため売電収入の増加につながる。

 一方、FITの買い取り価格はパネルの調達コストや設備利用率を基に算定される。パネルの価格は技術革新や中国製の安い製品の流入で下落しており、こうした設備を積み増せば、本来の買い取り価格の根拠とズレが生じる。FIT制度導入当初の高い価格で認定を受けた事業者ほど、利幅が増えることになる。

 経産省によると事業用太陽光では現在6万件以上の過積載があるとみられ、同省幹部は「コストは安くなっているのに買い取り価格がそのままでは、負担する国民に不公平が生じる」と指摘している。