米通商政策 保護主義のレッテル時期尚早 ジェトロ理事長、2国間でもTPP基本に

 
日本貿易振興機構(ジェトロ)の石毛博行理事長

 企業の海外進出支援などを担う日本貿易振興機構(ジェトロ)の石毛博行理事長がフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、トランプ米大統領の通商政策について語った。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉など、トランプ米大統領は就任後も選挙期間中の公約に従い発言している。ただ、まだ通商政策を企画・実行する閣僚が議会で承認されていない。政策を担うプロたちが入れば方向性が明確になる。(保護主義だと)レッテルを貼るのは時期尚早だ。

 過去の米政権は共和党であれ民主党であれ、選挙期間にいろいろ言っても、経済合理性に基づき自由貿易に前向きだった。トランプ政権も自由貿易そのものを否定してはおらず、やり方を見直そうとしているのではないか。自由貿易は全体でみればウィンウィンだ。一方だけ損をする関係ではない。誤解があるのなら順を追って解く必要がある。

 ただ、自由貿易を進めると輸入品が増え、地域的に集中して(失業などの)被害が出る。米国なら中西部の「ラストベルト」(衰退した工業地帯)だ。別の職種に移れるよう職業訓練などの救済策が必要になる。日本の経験も示して、雇用の流動性を高める補完的な措置を手厚くすべきだ。

 TPPは長い時間をかけて関係国で繊細なバランスを作り上げ合意した今後の貿易投資協定のひな型になるもの。担当閣僚によく意義を説明して理解を得られるよう努める必要がある。

 2国間の経済対話が今後始まるが、それと、日米自由貿易協定(FTA)とは全く次元の違う話だ。あくまでTPPを基本として可能性を追求すべきだ。

 NAFTA見直しでは、原産地規則や紛争処理などを実際どう見直すかは5月にも始まる交渉次第。国境税も国内経済への影響や世界貿易機関(WTO)協定との整合性について議会が精査する。(影響を受ける企業は)意思決定する前に、政策措置の内容を落ち着いて観察すべきだろう。