復興庁5年 生活再建見えず問われる存在感 道路や鉄道復旧率は9割超
2012年2月10日の発足から5年が過ぎた復興庁。東日本大震災からの復興に向け、政府の司令塔としての役割を果たしてきた。ただ、道路や鉄道の復旧率は90%を超える一方、全国でなお12万人以上が避難生活を送り、東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域での生活再建も先が見えない。政府は震災から10年の21年3月までを「復興期間」と定めており、存在感を発揮できるかが問われている。
政府は10年間の事業財源として32兆円を確保、うち25兆5000億円が前半5年間に集中投入された。昨年9月末時点で県・市町村管理の道路は92%、鉄道は96%が復旧。復興庁は、住宅再建に向けた用地確保の手続きを改善し復興交付金による財政支援を強化、岩手、宮城、福島3県の災害公営住宅は昨年末時点で78%が完成した。
一方、3県沿岸部の防潮堤は、地元合意に時間がかかり昨年9月末時点で完成率が21%にとどまるほか、土地かさ上げによるまちづくりなど一部事業に遅れが生じ、同庁は対応に追われている。政府は福島県内の避難指示解除に向け除染作業を急ぐが、解除された地域では、放射線の影響による健康不安などから住民の帰還率が伸び悩む。
今村雅弘復興相は「被災者に寄り添い、スピード感を持って取り組む」と強調する。ただ、被災地からは「存在感が見えない」と厳しい声も。
昨年、帰還困難区域の除染費用を東電に負担させず、国費で賄うとの政府決定をめぐっては、経済産業、環境両省が議論を主導し、復興庁が前面に立つことはなかった。20年東京五輪・パラリンピックのボート会場を宮城県に移す案が浮上した際も、「復興五輪」を掲げる同庁が調整に乗り出すことなく、話は流れた。
全額国費で負担してきた復興事業の一部に16年度から地元負担を導入した際は、一部の被災自治体から批判を浴びた。
津波で甚大な被害に遭った宮城県気仙沼市。水産加工業の工場再建は進んだが人口流出で人手が足りず、業績回復は道半ばだ。水産加工会社を経営する川村賢寿さん(67)は「ハード整備にお金を使って終わりではなく、被災地の困っている現状にしっかり対応してほしい」と訴えた。
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