安倍晋三首相、プレミアムフライデー活用した消費活性化を指示 「土日の需要先食い」大丈夫?
安倍晋三首相は15日開かれた政府の経済財政諮問会議で、毎月最終金曜の終業を午後3時とする「プレミアムフライデー」を活用した消費の活性化を指示した。プレミアムフライデーは24日に始まるが、首相は政府職員にも早い時間の終業を促し、旅行や買い物などの消費にあてるよう求めた。低迷する内需の強化に官民挙げて取り組む。
首相は会議で、プレミアムフライデーを「政府においても、できる限り多くの職員が楽しめるよう工夫する」と述べた。
民間議員の提言を踏まえたもので、提言では、潜在需要を掘り起こすため「プレミアムフライデーを契機とした消費機会の拡大」が有効と指摘。具体的分野として、国内旅行を挙げた。
民間議員はこのほか、中長期的な消費意欲の喚起策として、賃上げの継続を通じた可処分所得の拡大なども提言した。
首相がプレミアムフライデーへの取り組み加速を指示したのは、内需の柱である個人消費が伸びないからだ。ただ、金曜の空いた時間を買い物にあてるだけの単純な発想では、土日の「需要先食い」にとどまりかねない。滞在時間の増加が需要掘り起こしにつながる旅行、観光サービスの活性化が、実効性を高めるカギとなりそうだ。
「新たな個人消費を喚起する取り組みだ」。首相は諮問会議でこう述べ、プレミアムフライデーの効果に期待を示した。
ただ、「金曜夕方をモノを買う機会ととらえるだけなら、買う日が土日から移るだけになる」(三菱総合研究所の武田洋子主席研究員)といった指摘もある。
この点、石原伸晃経済再生担当相は「旅行(の役割)は大きい。土曜朝に出かけて日曜帰る1泊旅行より、金曜夕に出かけ現地で1日かけ観光するほうがボリュームは大きい」とし、
国内観光の活性化による消費拡大に期待を寄せる。
諮問会議では民間議員から、親子で旅行するため、学校の休み方の工夫をするよう求める声も上がった。
旅行・ホテル業界では金曜午後発のツアーを企画するなどの動きが広がり始めている。JTBグループは金曜午後からの需要を想定し、遅い時間のチェックインでも夕食がとれる温泉宿の宿泊プランやリゾート地の連泊プランを企画した。
実効性ある魅力的なサービスをどこまで消費者に訴えられるか、官民挙げての取り組みが求められる。
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