トランプ氏就任1カ月、円安ドル高進まず 東京株1万9500円の壁厚く

 
トランプ米大統領は18日、就任から20日で1カ月となるのを前に南部フロリダ州メルボルンで支持者集会を開き、公約に掲げた雇用確保などで成果があったと誇示した=18日(AP)

 トランプ米大統領が就任してから20日で1カ月を迎えた。米ダウ工業株30種平均は史上初の2万ドル超えを果たすなど快進撃を続けるのに対し、日経平均株価は円安ドル高の勢いが鈍いことが足かせとなって1万9500円近辺が壁となり、2015年12月以来の2万円には近づけていない。金融市場は今後も、トランプ氏の言動や政策をにらみながら一喜一憂する展開となりそうだ。

 目覚ましい上昇となっているのがダウ平均だ。トランプ氏就任から4営業日目の1月25日に2万ドルを突破した。その後、イスラム圏7カ国からの入国を禁止する大統領令に伴う混乱などで下押しされたが、トランプ氏が今月9日に「向こう2、3週間に税に関して目を見張る発表を行う」と発言すると再び上昇気流に乗り、17日終値は7営業日連続で過去最高値をつけた。

 一方、東京市場の平均株価は今月13日の取引時間中に一時1万9519円44銭まで上昇したが、終値ではこの1カ月間、1万9500円近辺の壁を破れずに“置いてけぼり”を食っている。週明け20日は、円高ドル安で一時、前週末比119円安となったが、終値は16円46銭高の1万9251円08銭と3営業日ぶりに小反発した。

 東京株に足踏み感が強いのは、企業の業績に追い風となる円安ドル高が進まなくなっているためだ。

 外国為替市場の円相場は、日米首脳会談前の今月7日に一時1ドル=111円台半ばまで円高ドル安が進行。20日の東京市場では1ドル=112~113円台で推移したが、トランプ氏の就任前日に比べると円高ドル安方向にある。みずほ証券の鈴木健吾氏は「トランプ政権による過激な政策への失望と将来の政策に対する期待が交じり合っている」と指摘する。

 トランプ氏の最側近の一人であるフリン大統領補佐官が早々に辞任し、閣僚人事の承認が遅れるなど、政権の先行きには不透明感が拭えない。当面は、減税案の具体的な内容や今月28日に予定されるトランプ氏の議会演説が注目される。ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は「減税案の内容が期待を下回ったり、トランプ氏の過激な言動が復活したりすれば、株価の下押し圧力になる」と話した。