対中反撃を探るトランプ政権、制裁課税強化策を検討 

 
ワシントンで演説するトランプ米大統領=21日(ゲッティ=共同)

 【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領が中国からの輸入に対する反撃の道を探っている。トランプ氏は就任後に中国批判のトーンを抑えてはいるが、中国による為替操作を踏まえ、制裁課税強化を狙った新たな対応策の検討を進めているもようだ。ただし対中経済問題は為替以外にも多岐にわたっており、さらに踏み込んだ徹底的な対応を求める声も出ている。

 トランプ氏は選挙戦中、中国が為替相場を人民元安に誘導して輸出を促進していると主張。しかし中国との正面対決を避けるため、「就任初日」に行うとしていた中国の為替操作国指定は見送った。22日には米国際貿易委員会(ITC)が中国製タイヤへの制裁課税を否定するというつまずきにも見舞われた。

 しかしトランプ氏は中国への対抗策を諦めたわけではない。米紙ウォールストリート・ジャーナルは14日、トランプ政権が為替操作国指定の代替策として、為替操作を「不正な補助金」として認定することを検討中だと報じた。

 現状でも中国政府が企業に不正な補助金を出していると認定されれば、米国は相殺関税を課すことができる。今後、為替操作が不正な補助金に含まれれば、相殺関税の対象が広がったり、税率を引き上げたりする効果が出るとみられる。

 トランプ政権が標的として見据えるのは鉄鋼製品だ。ピーター・ナバロ国家通商会議委員長は「中国は世界市場で1億トン以上の鉄鋼をダンピング(不当廉売)している」と強調してきた。

 商務省は3日、中国製のステンレス鋼板とステンレス鋼帯で、ダンピングと不正な補助金があったと発表。1月18日にも炭素鋼と合金鋼で同様の発表をした。ITCが判断を認めれば、トランプ政権下で初の鉄鋼製品への制裁課税が確定することになる。

 ただし中国は為替相場や補助金以外にも、外国企業の法人設立に対する厳しい制限や知的財産の盗用、外国企業からの技術移転の強要など数多くの問題が指摘される。

 米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は2月14日の報告書で、「トランプ氏は中国に対して、米国との生産的な関係を維持したいなら対話だけでは経済制度改革や市場開放の代わりにはならないことを強調すべきだ」と主張。そのうえで対話に代わる新しい枠組みや、中国の不正な貿易慣行への対策強化を提言している。