習近平氏と李克強首相、握手せず視線合わさず ツートップ、公開の場で確執隠さず

 
中国の第12期全国人民代表大会の開幕式を終えた習近平国家主席(手前左)と李克強首相=5日、北京の人民大会堂(共同)

 【北京=矢板明夫】北京の人民大会堂で5日に行われた全国人民代表大会(全人代=国会)の開幕式で、中国共産党序列1位の習近平国家主席と、序列2位の李克強首相は握手することなく、視線もほとんど合わさなかった。約3000人の全人代代表と世界中のメディアを前に、「ツートップ」の確執が改めて浮き彫りとなった形だ。

 李氏は演壇で約1時間40分、政府活動報告を読み上げた。その左後ろのひな壇に座っていた習氏は始終つまらなそうに机の上に視線を落とし、李氏の方を見ようとしなかった。

 「内需の潜在力を一段と引き出そう」などと李氏が語気を強めた場面では満場の拍手がわき起こったが、習氏の手は動かなかった。「香港や台湾の独立の動きに断固反対する」と言明したとき、習氏は数回だけ手をたたいた。

 報告の最後で李氏は、「習近平同志を核心とする党中央を中心にいっそう緊密に結束しよう」と、お決まりの文句を述べた。演説を終えた李氏は習氏の左隣の席に戻ったが、習氏は目を合わせないよう少し顔をそらしたようにも見えた。

 今年の経済成長率の目標は6・5%前後と、近年で最も低い数値となった。「中華民族の偉大なる復興」というスローガンを掲げる習氏は、李氏が主導する経済運営に大きな不満を持っているとされる。一方の李氏は、習氏の経済政策への頻繁な“口出し”や人事調整に反感を抱いているといわれる。「首相を辞めたい」と周辺に漏らしているとの情報も出回る。

 現行の定年制が適用されれば、秋の党大会で現在の最高指導部メンバー7人のうち、習氏と李氏以外は全員が引退する。李氏が序列2位のまま、閑職の全人代常務委員長(国会議長に相当)に横滑りする可能性も北京の共産党関係者の間でささやかれている。

 しかし、その場合、経済上の理念が李氏に近いとされる汪洋副首相が最も有力な次期首相候補となる。経済に対する党の指導を強化させるとする習氏との「水と油の関係」は、今後も続く懸念がある。