お粗末な国会論戦 煮え切らない「森友問題」に時間浪費
高論卓説国会論戦がお粗末だ。攻める野党も、迎え撃つ政府側も、国民のために事実を、真意を明らかにしようという気が本当にあるのか、と思わざるを得ない。
第1に、「森友問題」である。学校法人森友学園が開校する予定の小学校用地取得に関する不可解な経緯に対し、連日、国会での追及が続いている。論点は既に報道で明らかだが、それに対する政府側の答弁は何一つ納得がいかないのである。賃借契約を経ての売買契約という経緯や、賃料や売却額の異常なまでの安さという点だけでも、ほとんど全ての国民は「何か特殊事情があるのでは」と思っているはずだ。
さらに、安価となった根拠でもある地中の埋設物そのもの、またその処理方法が未確認というのでは、適正に対処したとはとても言い切れないと、常識的な国民なら思うはずだ。答弁する高学歴の政府の担当者が、その判断がつかないとはとても思えない。そう考えると、「何か隠している」と国民が思うのが普通である。予算委員会でそれを聴いている総理大臣を含む全ての閣僚たちは、そのことをどう思っているのだろうか。国民に対する説明として不十分と感じないのだとすれば、そのような閣僚、政治家はいらない。
追及する野党も、同日に質問に立つ議員が、繰り返し同じ質問をするのである。同じ質問をするから、同じ答弁、それも煮え切らない答弁が返ってくるだけで、ほぼ1日を費やし、はっきり言って時間の無駄だ。同じ党なら、質問に立つ議員同士で、質問の分担や調整をしっかりやるべきである。
あるいは、こういうときこそ、野党共闘したらよいのではないだろうか。本当にこの問題の真意を明らかにしようという気があるのなら、野党が一丸となって追及すべきだ。理念や政治信条が違う党が選挙で見せかけの共闘をするより、よほどその価値は高いはずだ。
つまり野党は、国民のために追及をしようという気がないとは言わないが、テレビ中継の入る予算委員会での質問は、自らのアピールの場としているだけだと受け取られても仕方ない。
予算案は、圧倒的な与党の多数により、時間がくれば成立する。そのため、与野党にとっては「消化試合」という扱いになっているのではないか。粛々と時間をこなす、そのために政府答弁者は、のらりくらりの答弁を、どんな野党の怒号に遭おうと、国民が不満でも、それを繰り返していればよいのである。もしそれが閣僚を含む政府全体の意向であるのなら、そんな政治を国民は信頼するだろうか。
ただ、予算委員会で扱うべきは「森友問題」だけではない。北朝鮮の不穏な動き、同盟国であるトランプ米政権の政策や、何より日本の経済状況の回復の遅さなど、議論すべき課題は山ほどある。しかし、まともな対応を取らないことで、この「森友問題」ばかりに時間が取られていることが、国民のためにならないことも事実である。
数の力を持ち、長期政権になりつつある安倍晋三政権は、今こそ国民に対する誠実な対応と緊張感が必要だ。政治は、国民の信頼の上に成り立つことを、特に政権にいる与党全ての議員に自覚してもらいたい。
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【プロフィル】細川珠生
ほそかわ・たまお 元東京都品川区教育委員。ラジオや雑誌でも活躍。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。千葉工業大理事。
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