利上げ急ぐFRB…任期満了迫るイエレン議長がトランプ政権に先手
米連邦準備制度理事会(FRB)が14~15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で3カ月ぶりに追加利上げすることが濃厚だ。利上げを急ぐのは、米国経済の好転だけでなく、ドル高・金利高に批判的なトランプ政権の誕生と、1年を切ったイエレン議長の任期が大きく影響している。(米沢文)
「次回会合で雇用と物価の動向が想定通りに推移していれば、政策金利の調整が適切になるだろう」
イエレン氏が3日の講演で明確に利上げを示唆したことで、市場は一気に利上げモードに傾いた。
米国では、機関投資家が国債の償還を迎える2月に新しく債券を買い入れることなどから、金利が上がりにくく、為替もドル高円安に進みにくい状態が続いていた。他のFRB高官も総出で3月利上げの可能性を口にし、市場に織り込ませてきた。
FRBの動きに関し、SMBCフレンド証券の岩下真理氏は「中央銀行に長く携わってきたイエレン氏だからこそ、金利正常化への思いは強い」と解説する。
イエレン氏の後任絡みで注目されるのが、理事の人事だ。4月にはタルーロ理事が退任し、空席は3人に増える。後任について、東短リサーチの加藤出氏は「大統領への忠誠心が重視される」と述べ、夏ごろまでに次の議長含みで理事を選ぶ可能性を指摘する。
逆に、イエレン氏側はFOMCメンバーがトランプ色に染まる前に少しでも利上げを進めておく必要があるというわけだ。
足元の環境は、利上げを進めるには理想的だ。米経済指標はこのところ堅調ぶりが目立つ。特に、1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比1.9%増と、FRBが目指す2%に近づいている。
10日には、2月の米雇用統計が発表される。長期的に労働力を吸収できる雇用の増加ペースは「月7.5万~12.5万人」(イエレン氏)とされるが、この半年は平均18万人程度で推移してきた。
欧州が選挙ラッシュに突入するという事情もある。今月15日のオランダ総選挙を皮切りに、4~5月にフランス大統領選、9月にドイツ連邦議会選が控える。
各国で反グローバリズム勢力が台頭すると、市場はネガティブに反応する傾向がある。みずほ証券の宮川憲央氏は「FRBは経済・金融環境が良好な今のうちに、利上げを進めておきたいと考えたとしてもおかしくない」と分析する。
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