認可保育所、遅れる整備 働く親には「狭き門」… 1次選考で落選者相次ぐ

 
長男に食事をさせる服部弥生さん=2月24日、東京都千代田区

 認可保育施設の4月入所をめぐり、1次選考で落選者が相次いでいる。国の緊急対策も奏功せず、働く親にとっては相変わらずの「狭き門」。少子化で需要の先行きが見通せず、事業者が参入をためらうケースも出ている。

「どうせ門前払い」

 「自治体は子育て世帯を呼び込もうとしているのに、なぜ十分な保育所を整備しないのか」。2月に国会内で開かれた集会では、母親らの憤りと矛盾を訴える声があふれた。

 清掃関係の仕事をしている武藤知夏さん(23)=東京都葛飾区=は長女(1)の預け先が見つかっていない。これまでは義理の妹が大学に通いながら世話をしてくれていた。だが4月に就職するので、もう頼れない。「このままでは仕事を辞めざるを得ない。生活はどうなってしまうのか」

 東京都大田区の会社員、服部弥生さん(29)は認可外施設6カ所の選考結果を待つ。昨年4月の区の待機児童は229人。「どうせ門前払い」。認可施設は初めから諦めたという。

 「間違いなく達成できるという状況ではない」。安倍晋三首相は2月の国会答弁で、2017年度末までの「待機児童ゼロ」を事実上断念する考えを表明した。目標を掲げたのは13年4月。女性の就業率向上に伴う各地の需要増を見込み、5カ年計画で40万人分の受け皿を増やすとし、1年前倒しで達成。さらに10万人分を上積みするなど「万全の対策」をアピールした。それではなぜ、待機児童が一向に減らないのか。

 全国ベースで見ると、昨年4月時点の認可保育施設の定員数は入所希望者を上回っている。だが人口が流入する都市部などに保育の需要が集中。国の取り組みが進むとの期待もあり、想定を超えるペースで希望者が増えている側面もある。

 福岡市のベッドタウン、福岡県春日市の担当者は「需要を測りづらい」と危機感を募らせる。

 共同通信が84自治体を対象に実施した調査では、4割弱の30自治体が現時点で、認可保育所の整備実績が計画を下回っているとした。

保育士不足も課題

 今年4月オープン予定だった6カ所すべて(定員計390人)の整備が遅れている沖縄県石垣市では、保育士不足が課題だ。県外からの移住者に渡航費50万円の支給を打ち出したが、担当者は「数人しか集まらない」と嘆く。東京都武蔵野市では1カ所の新設が中止に。近隣住民が送迎時の事故などを懸念して反対し、事業者が撤退した。

 「肝心の保育事業者が見つからない」との声も多く、兵庫県加古川市では当初計画の35%にとどまる一因となった。担当者は「少子化が進む中で保育ニーズの高まりがどこまで続くか分からず、事業者も決断に時間がかかる」と分析する。

 日本総研の池本美香主任研究員らの試算では、保育所の利用希望者は20年ごろまで増え、女性の就業率が高まれば40年まで増加傾向が続く。池本氏は「事業者の不安を解消するには国や自治体が中長期の見通しを示す必要があるが、需要に追い付こうとしても限界がある。在宅勤務や男女の育児休業取得の推進など、企業が取り組める余地は大きい」と語る。