ルポ・斜陽の中国鉄鋼地帯、河北省唐山市 「仕事があるだけましだ」と作業員…過剰生産で削減正念場
過剰に生産した鉄鋼を世界中に安値で輸出し、批判されている中国政府が、生産能力の削減を進めている。15日まで行われた全国人民代表大会(全人代=国会)では、初年度にあたる2016年に目標を上回る削減を達成したと強調。ただ、実際には老朽化で稼働停止中の設備など影響が少ないものから着手しており、対策は今年から正念場を迎える。(中国河北省唐山市 三塚聖平)
北京中心部から車で約2時間半の場所にある唐山市。省最大の重工業都市で、中国有数の鉄鋼産業の集積地だ。
市内東部の製鉄所では白い煙が立ちのぼり、砂ぼこりに混じって焦げたような臭いが鼻を突く。周囲はでこぼこ道が目立ち、寂れた雰囲気に包まれていた。
「製鉄所の状況が良くないから自分たちの稼ぎも良くない」。製鉄所近くの食堂で働いていた若い男性従業員はぶっきらぼうに語った。昼休み中の作業員は「仕事があるだけましだ」と言葉少なだった。
米国全体を上回る粗鋼生産量がある唐山市は、中国政府が進める鉄鋼の過剰生産能力削減の鍵を握る。昨年は市内で10超の高炉が削減されたと報じられた。市内には新しい大規模製鉄所もあるが、削減対象の老朽化した小型設備が目立つ。
中国政府は2016年から5年間で粗鋼生産能力を1億~1億5千万トン削減する計画を進行中で、16年には4500万トンの目標を上回る6500万トン以上を削減。李克強首相も全人代で17年も5千万トン前後を削減するとの方針を示し、順調さをアピールした。
ただ、実際には今年から難しい局面に入る。昨年河北省で削減を行った鉄鋼会社のリストには、日本の大型高炉と比べて10分の1程度の容量のものが目立ち、「老朽化して以前から生産停止していた小規模のものが多い」(日本の鉄鋼大手幹部)との見方もある。さらに、一度削減済みにカウントされた高炉が再び稼働するケースもあるという。
丸紅経済研究所の李雪連シニア・アナリストは「今後は稼働中のものまで対象を広げなくてはならない。削減は難航するとみられ、取り組みは今年から本番を迎える」と指摘する。
また、国有企業が中心の鉄鋼会社は多数の雇用を抱え、抜本的な設備廃棄が進めば雇用問題が生じる可能性もある。秋に共産党大会を控える重要な局面で、習近平指導部が取り組みを完遂できるかは不透明だ。
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