中国の深刻化する環境問題に商機見いだす「ベンチャー魂」 日系も参画 対策投資拡大も「効果見えにくい」土壌分野など後手に
微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染など環境問題が深刻化する中、中国で環境分野を狙った企業の動きが活発だ。15日閉幕の全国人民代表大会(全人代=国会)でも環境対策の強化方針が示され、投資拡大を見込みベンチャーも存在感を増す。ただ、効果が見えにくい分野には政府の支援が行き届いていないなど、積極化する企業の動きを抜本的な環境改善につなげられるかは不透明だ。
北京中心部の「中華民族芸術珍品館」の建物の一角に、ベンチャー企業が入る起業支援施設がある。
「中国では省エネや環境対策が日本と比べて十分でなく、改善余地は大きい」
環境関連のベンチャー企業「北京国能環科環保科技」の佐野史明・海外マネジャー(32)が手応えを語る。2009年設立の同社は、主にオフィスの省エネや工場の汚水処理施設・設備に関する事業を手掛けている。
佐野氏は08年に東大農学部を卒業。日本の商社を経て、11年に北京に移住して環境ビジネスの世界に飛び込んだ。今は優れた環境技術を持つ日本企業を中国で紹介する業務を担当し、「政府の後押しもあり、中国の環境ビジネスはまだまだ伸びる」と強調する。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、中国における工業汚染対策投資額は10年の約400億元(約6520億円)から15年には1000億元の大台を突破。李克強首相は全人代で再生可能エネルギーへの転換など環境対策を強調しており、今後も順調な投資拡大が見込まれる。
市場を取り込もうとする企業の動きが熱を帯びる一方で、これにより一気に環境改善が進むかは疑問もある。政府の支援は大気汚染対策などメディアが注目する分野が優先され、土壌汚染対策など後手に回っている分野が少なくないからだ。環境より経済発展を重視する風潮も依然根強い。
ジェトロ・アジア経済研究所の大塚健司主任研究員は「根本的な環境改善には遅れている分野への対応が急務。大気汚染など対策が先行する分野も技術の高度化が必要だ」と指摘する。(北京 三塚聖平)
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