海外投資家、高額マンション購入手控え 割安感薄れ変わる潮目

公示地価
住友不動産が湾岸地区で開発を進める「東京ベイトリプルタワープロジェクト」の現場=東京都江東区

 2017年の公示地価で、首都圏住宅地は上昇基調が鮮明となった。富裕層向けの都心の高級マンションの販売好調が大きな要因だ。ただ、市況の下支え役を担ってきた海外投資家の動きは割安感が薄れてきたことで鈍ってきたといわれ、一部で潮目が変わりつつある。

 市場過熱に警戒感

 東急不動産が1月に完成した「ブランズ ザ・ハウス一番町」(東京都千代田区)は平均価格が3億円という超高級物件にもかかわらず、48戸全てが売れた。富裕層の購買意欲は落ちていないと判断し、同区で複数の開発案件にも着手している。

 住友不動産は、東京湾岸で19年の完成に向け総戸数が1500を超える「東京ベイ トリプルタワープロジェクト」(江東区)の開発を進めている。「共働きが多く、利便性を重視する傾向が強い」(青木斗益(ますみ)取締役)という顧客動向を背景に、モデルルームへの来場者は年明け以降で1000組を超えた。

 ここ数年の首都圏新築マンション市場では、こうした都心の高額物件が主役を演じ、運用目的の投資資金の流入と相まって地価の上昇を牽引(けんいん)してきた。

 しかし、高額マンション市場の過熱には警戒感も出ており、東京の住宅地では千代田区の上昇率が前年の9.4%から7.5%に下がり、上昇基調は続いているものの、中央、港を含めた都心3区で勢いが鈍化した。マンションの販売担当者は「(利便性の高い)都心のプレミアム立地でも強気の価格で売れるエリアは厳選されている」と指摘。海外投資家が高額物件の売却を検討するケースも多いという。

 一方、地価上昇に人手不足や資材高に伴う建築コストの上昇も重なり、昨年の首都圏マンション価格は平均で5490万円とバブル期並みの水準に達しており、住宅ローン金利の低下にもかかわらず、消費者は購入に二の足を踏んでいる。

 都内や周辺の人気住宅街でも、決して値引きを行わなかった開発業者が値下げに応じるなど一部で異変が起きている。

 以前は「販売状況が悪くても、それを価格で上回る物件が登場すると安く見えたので結果的に売れていた」(大手デベロッパーの開発担当者)が高額物件が出にくくなり、そうした楽観的な販売手法は通用しなくなっているという。

 中古物件に向かう

 「よほどひどい場所でなければ、3000万円台の新築マンションを販売すれば飛ぶように売れるはず」(同)。住宅取得の「実需ニーズに関してはかなり手応えを感じている」(野村不動産ホールディングスの沓掛英二社長)との強気の見方もあるが、マンション価格の高騰で1次取得者層は割安な中古市場などに向かっており、市場の景色は変わってきている。

 郊外型マンションの場合、価格に占める割合は土地代2割で建築費8割というのが一般的だ。低金利環境の長期化という住宅購入の好機は続くが、建築コストが低下しなければ販売価格はなかなか引き下げられない。今後、新築マンションの購入を手控える消費者の動きは地価の動向にも影響を与えそうだ。(伊藤俊祐)