ロシア地下鉄爆発、日本企業に懸念 リスク回避、対露輸出減少も
地下鉄で爆発が起きたロシア西部サンクトペテルブルクとその周辺には自動車関連を中心に日本企業が40~50社程度、進出している。駐在員らの被害は報告されておらず、短期的には日本の企業や経済に大きな打撃はないとみられる。ただ、今後テロが頻発し、不安定な国内情勢が長期化すれば、リスク回避による円高株安や対露輸出の減少などで、日本経済に一定の影響を及ぼしかねない。
ロシア全体では、実際にビジネスを手掛けている日本企業は270社程度とみられる。日本貿易振興機構(ジェトロ)は「引き続き民族や宗教的な火種がある」として、公共交通機関などでのテロに注意を呼び掛けてきたが、今回その不安が現実になった形だ。
爆発を受け進出企業は対応に追われた。サンクトペテルブルクでスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」を生産する日産自動車は現地従業員に「安全な行動を心掛けるよう」注意を喚起。たばこの生産工場を持つ日本たばこ産業(JT)は「従業員の出社や生産に影響は出ていない」が、今後も情報収集に努め適切に対応するとしている。
今回、日本人や日本企業が標的になったわけではないこともあり、「目下、日本経済に深刻な影響を与える懸念は小さい」(野村証券の吉本元氏)。ただ今後、テロの多発などで治安への不安が長期化すれば、日本経済への影響も出てきかねない。
第一生命経済研究所の永浜利広氏は「リスク回避志向から円高、株安が進み日本企業の業績低迷や雇用の悪化などにつながりうる」と指摘。旅行業界からは「事件が続いて海外を敬遠する流れにならなければいいが…」と心配の声が出る。一昨年11月のパリ同時多発テロ以降、需要回復まで約1年かかったからだ。
ロシア国内の消費意欲が冷え込めば、自動車を中心とする日本からの輸出品に対する購買力が落ちる。経済制裁などを背景に進む対露輸出の減少傾向をさらに加速させる可能性もある。
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