個人番号カード義務化視野 諮問会議 民間議員が取得促進提言
政府が11日開いた経済財政諮問会議で、民間議員は行政の効率化に向け国民のマイナンバーカード(個人番号カード)取得を促すべきだとして、取得の義務化も視野に抜本的な対策に取り組むよう政府に提言した。
この日は地方財政を議論。安倍晋三首相は自治体が積み立てている財政調整基金など各種基金について「実態をしっかりと分析してもらいたい」と述べ、行財政改革の加速を関係閣僚に指示した。石原伸晃経済再生担当相は記者会見で、財政健全化の達成度合いを評価する2018年度に向けて議論を進める考えを示した。
マイナンバーカードは今年3月時点の交付枚数が約1070万枚、交付率は8.4%にとどまっている。民間議員は交付率が低いままではマイナンバー導入によって目指している行政コストの削減が進まないと指摘。交付枚数とその達成時期について具体的目標を定めるよう求めた。
これに対して高市早苗総務相は、カードの利便性向上で普及を促すとの従来方針を示すにとどめた。
自治体の基金に関しては、残高が近年増えて15年度に計21兆円に達したことを民間議員が問題視した。予算の無駄につながっている可能性があるとして、増加幅が大きい自治体は説明責任を果たすべきだと主張した。
地方の私立大が公立大に転換する動きが相次いでいることにも言及。運営費用で新たな国民負担を招く可能性があると指摘し、経営の見通しを示すことを要請した。
■民間議員の提言のポイント
▽積立残高が21兆円に達する地方自治体の基金について、総務省は実態を把握・分析する
▽地方交付税や地方創生関連の交付金を受けた自治体による取り組みの成果を把握・検証する
▽マイナンバーカードを行政効率化の切り札として、取得義務化も視野に、取得数の目標や時期を掲げる
▽地域差のある行政サービスの効率化に向け、インセンティブ強化に役立つ補助金、交付金の配分を進める
▽複数の自治体で特定の課題や工夫を共有し、標準化して全国展開する
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