RCEP閣僚会合が閉幕 “ASEAN票”確保で日中綱引き
日本は22日閉幕のRCEP閣僚会合で、質の高い貿易ルールの構築と早期合意という二兎を追うため、域内の発展途上国を積極支援する姿勢を明確にする。中国が多国間交渉で急速に影響力を強める中、高水準の合意にこだわりすぎれば逆に域内で孤立する恐れがあるためだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との仲間づくりを加速することで、中国との“綱引き”を制したい考えだ。
「発展の初期段階にある国には、キャパシティー・ビルディング(能力構築)をはじめ、いろんな支援が必要だ。それを踏まえた『質の高さ』を日本は訴えたい」
世耕弘成経済産業相はこう強調する。
政府はASEAN各国に対し中小企業の海外展開支援や新産業の創出、電子商取引(EC)など支援策を検討している。経済協力を通じ幅広い分野で貿易自由化を進めれば、経済のグローバル化に取り残された途上国や中小企業にも今後、大きな恩恵をもたらすと理解を求める構え。
一方、中国はトランプ米政権が多国間貿易交渉に背を向けた間隙(かんげき)を縫い、自由貿易のリーダーとして地位を確立しようともくろむ。中国包囲網といわれた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の停滞を好機と捉え、「一騎で突き進む英雄(トランプ氏)より、同じ船に乗る相手を求めている」(王毅外相)と各国を中華圏に手招いている。
RCEPでは、自国産業を守るため高いレベルの自由化や国有企業改革など透明性が高い貿易ルールの導入には慎重だ。日本やオーストラリア、ニュージーランドなどTPP参加国の先導で、「アジア版TPP」にされるのは回避したい。
こうした日中の主導権争いで草刈り場となるのが、RCEPを提唱したASEANだ。日本は世耕氏が4月に各国の経済閣僚を地元の和歌山県に招いてもてなし、個人的な信頼関係を築くなど布石を打ってきた。
途上国の例外を認めつつ、全体では質の高い合意を目指す。日本のそんな思惑が奏功するかは、“ASEAN票”を着実に確保できるかにかかっている。(ハノイ 田辺裕晶)
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