排出量削減の制約を解いて経済活動を促す狙い パリ協定は製造業の重荷との分析も アメリカ

 
パリ協定から脱退する方針を発表するドナルド・トランプ米大統領=1日、米ワシントンのホワイトハウス・ローズガーデン(ロイター)

 【ワシントン=小雲規生】トランプ米大統領がパリ協定離脱に踏み切った背景には、温室効果ガス排出量削減の制約を取り払って経済活動を促す狙いがある。パリ協定はエネルギーコストの上昇などを通じて製造業に悪影響を与えるとの分析もあり、3%以上の経済成長を目指すトランプ政権にとって足かせでしかなかった。

 「パリ協定の目標に従ったエネルギー規制の実施で米国は2025年までに270万人の雇用を失う」

 トランプ氏はホワイトハウスで発表した声明で、パリ協定は米国経済にとっての重荷だと主張した。

 オバマ前大統領はパリ協定の目標達成のため、火力発電などへの規制強化を打ち出してきた。しかし米国での発電量の約65%は化石燃料による火力発電がまかなっている。長期的な発電コストの上昇は必至で、間接的に製造業の経営を圧迫するともみられてきた。保守系シンクタンク、ヘリテージ財団は「パリ協定は35年までの米国の生産活動に2兆5千億ドル相当のマイナス効果がある」と分析する。

 「米国に雇用を取り戻す」を最優先課題とするトランプ政権は、これまでに火力発電への規制見直しやオバマ氏が却下した石油パイプラインの建設を認めるなどの手を打ってきた。それだけにパリ協定離脱で制約を取り除くことは自然な判断だったといえる。

 しかし、米国は直ちにパリ協定から抜けられるわけではない。発効から3年間は離脱通告ができないなどの規定があるため、米国が実際に離脱できるのは早くてトランプ氏の任期終盤の2020年11月。次期大統領選で、パリ協定の離脱の是非は争点になるのは必至で、政権交代が起きれば米国は一転して復帰へかじを切る可能性もある。