(1)企業融資に投資する!? 新しい投資のカタチとは
ソーシャルレンディングを知る昨今、急成長を見せている新しい投資手法「ソーシャルレンディング」。今回から始まる連載では、ソーシャルレンディングに特化した比較サイト、メディアを運営する「クラウドポート」が、その仕組みや成長の理由、業界の課題などについて解説していく。(藤田雄一郎)
▽ソーシャルレンディングとは?
皆さんはこれまで「ソーシャルレンディング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
ソーシャルレンディングは、昨今、急速に普及し始めている新しいかたちの金融サービス。インターネットを通じて、お金を借りたい会社と、お金を運用して増やしたい個人をマッチングする。
個人が投資した資金は、プラットフォームを通じて企業に貸付けられる。その資金を用いて企業はビジネスを行い、得られた収益を基に元本の返済および利息の支払いを行う。
企業側にとっては借り入れた資金を活用することでビジネス拡大の機会を得ることとなり、個人は得られた利息収入によって資産を増やすことができる。借り手と投資家、双方にとってメリットのある仕組みだ。
▽銀行などが対応できない資金需要に応えるソーシャルレンディング
これまで中小企業への資金供給は、主に銀行やノンバンクといった既存金融機関が役割を担ってきた。その一方で、銀行は、かつて不良債権処理に苦しんだ経験から厳しい審査基準を自らに課すようになった。その結果、審査は柔軟性を欠いたものとなり、たとえ財務的に健全な企業であっても、審査基準に合致しないという理由で、融資を断られるケースは数多く存在する。
ノンバンクについても、貸金業法改正をきっかけに事業者数を大きく減らしている。金融庁が公開しているデータを見ると、2006年4月段階で14236社以上あった国内貸金業社の数が17年4月段階では1854社にまで減少(金融庁 貸金業関係資料集「貸金業者の長期的な推移」を参照)。この間に資金需要も大きく減少したとは考えにくく、実際は資金が必要なところに十分流れていない状況だ。よくお金は社会の血液に例えられるが、人体で言えば、あまり良い状態ではないと言えるかもしれない。
そんな中、インターネットの活用と独自の審査基準で急成長しているのがソーシャルレンディングだ。
借り手の返済能力を慎重に審査する点は銀行やノンバンクと同様だが、それ以外の条件面については、柔軟な融資判断を行う。例えば、銀行があまり好まない、短期や少額の案件、創設から間もない企業への融資などであっても、回収見込みが十分に立てば、積極的に貸付けを実施する。
既存の金融機関だけでは満たしきれなかった国内中小企業の資金需要に応え、新たな資金調達の選択肢を提供しているのがソーシャルレンディングなのだ。
▽盛り上がるソーシャルレンディング市場
ソーシャルレンディング市場はここ数年で急速に拡大。14年の市場規模(流通額)は143億円と小規模であったものの、15年は310億円、16年は533億円と、前年比170%で成長を続けている。今年は1000億円に迫る勢いで資金が集まっている状況だ(クラウドポート調べ)。
参入事業者に関しても、14年にわずか6社だった国内事業者が、17年5月末現在で22社にまで増加している。
ソーシャルレンディングがこれほどの伸びを見せているのはなぜなのか。その理由として、高い利回りと保全性、そして運用の手軽さが挙げられる。
▽人気の理由は、魅力的な利回りと高い安全性
まず、ソーシャルレンディングの魅力として挙げられるのは「高い利回り」。定期預金の利息が0.1%の時代に、ソーシャルレンディングのファンドにおける平均利回りは8%(年利・税引前)と非常に高い水準を誇る(16年上半期、クラウドポート調べ)。
また、「安全性」という面でも魅力がある。継続的にファンドの募集を行う国内主要18事業者における、過去3年間の貸し倒れ率(デフォルト)は0%であり(17年5月末現在)、この点からも比較的安全性の高い金融商品であると言える。
現状は各ソーシャルレンディング事業者の企業努力により、高い保全性を維持することができているが、融資の仕組みを利用している以上、いずれデフォルトは発生するだろう。しかしながら、デフォルトが発生することも考慮に入れ、しっかりと分散投資を行なっていれば、ある程度リスクをコントロールすることが可能だ。
この数年で参入企業が増加したことにより企業間での競争は激化している。顧客獲得のために自社マージンを放出して高い利回りを設定している企業もあり、投資するには今が良い時期かもしれない。
▽多忙な方にも、おすすめできる資産運用
ソーシャルレンディングのもう一つの魅力は「運用の手間がかからない」という点だ。外国為替証拠金取引(FX)や株式などは、価格変動があるため頻繁に相場を見張っておく必要がある。一方、ソーシャルレンディングには元本の価格変動がない。一度投資すると、基本的には運用期間(分配方法は各社異なる)が終了するまで待っていれば、分配金が得られる(元本は保証されていない)。
中にはソーシャルレンディング投資に割く時間が1カ月あたり2時間以下という投資家もいるほど。ソーシャルレンディングは運用の手間がかからないため、普段忙しいサラリーマンや主婦の方でも比較的取り組みやすい資産運用方法といえるだろう。
新しい投資のカタチとして急速に普及し始めているソーシャルレンディング。次回の記事では、ソーシャルレンディングが急成長している理由、そしてどんな事業者があるのかを紹介する。(※次回は6月23日から掲載予定です)
【プロフィル】藤田雄一郎
ふじた・ゆういちろう 株式会社クラウドポート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にWEB構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、12年に上場企業に売却。13年に大手ソーシャルレンディングサービスを立上げ、サービス開始から約2年半で80億円の資金を集めるプラットフォームに成長させた。16年11月にクラウドポートを創業。
※ソーシャルレンディングファンドを事業者横断比較できるサイト「クラウドポート」
※ソーシャルレンディングに特化した情報サイト「クラウドポートニュース」
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