自由を守る防波堤として 幸福実現党党首・釈量子

太陽の昇る国へ
衆院議院運営委員会で天皇陛下の譲位を可能にする特例法案が可決され、佐藤勉委員長(左)と握手する大島理森衆院議長(中央)=1日午後、衆院第1委員室

 --北朝鮮が依然として威嚇行為を続けています

 金正恩政権は毎週のようにミサイルを発射するなど、軍事的挑発を強めていますが、一刻も早く武装解除し、核・ミサイル開発を放棄させなければなりません。

 北朝鮮の暴発もあり得るなか、日本政府はことあるごとに「万全の態勢を取る」と強調していますが、万全の上にも万全を期すべきです。国民の安全確保などの対応はもとより、防衛出動の発令が可能となる事態認定などに不手際のないよう改めて求めるものです。

 ましてや、日本の直面する脅威は北朝鮮だけではありません。覇権主義にひた走る中国への備えとしても、憲法9条の全面改正はじめ、抑止力強化が急務です。離島への自衛隊配備や防衛装備の拡充はもちろん、核攻撃に対処すべく、自衛のための核装備も進めるべきだと思います。核シェルター整備も急がねばなりません。国民の生命・安全を守り抜ける体制構築へ向け、わが党は運動を進めていく決意です。

 --さて、天皇陛下の譲位を可能にする特例法案が9日に成立の見込みです

 昨年8月、譲位を示唆された、天皇陛下のお気持ちの表明を受けての立法であることは承知します。ですが、私ども幸福実現党は同法案には反対です。

 天皇陛下を「人間天皇」とみる立場からは、ご高齢でいらっしゃることなどを踏まえれば譲位も当然だとなるかもしれません。ですが、天皇は天照大神のご子孫であり、神話・伝統を背負った存在にほかならず、そのご本務は、神道の祭祀(さいし)の長としての祈りにあると考えます。譲位ではなく、公務の見直しによって負担軽減を図り、連綿と続く日本の国柄を守るべきというのが私たちの考えです。神秘性をそぎ落とすような議論は皇室を貶(おとしめ)めることにつながりかねないことにも注意を払うべきです。

 --法案の付帯決議で「女性宮家の創設」検討が盛り込まれましたが

 皇族減少に歯止めをかけるための検討はもちろん必要だと思います。しかし、女性宮家の創設は女系天皇に道を開き、万世一系の男系による皇統維持を危うくし、王朝交代を招く恐れもあることから慎重であるべきではないでしょうか。結婚により皇籍を離れた女性皇族の公務を可能とすることを検討すべきだと思います。

 私たちは、大統領制の導入を主張していることから、一部の方から「皇室をなくそうとしているのではないか」とのご批判を受けることもあります。しかし、それはまったくの誤解です。統治機構改革の一環として大統領制を訴えていますが、これは皇室を守ることにもつながるのです。

 自民党は憲法改正草案で天皇を「元首」としていますが、きな臭い動きが周辺国にあるなか、この考えでは、戦端が開かれて、万一、日本が敗戦国などになった場合、天皇が戦争責任を問われる可能性もあります。大統領を元首と位置付けるとともに、天皇を政治権力から遠ざけることで、皇室を維持することもできると確信します。

 いずれにせよ、皇室のあり方をめぐっての立法や議論が、その永続性を損なうことにならないよう願うばかりです。

 --後半国会の焦点の一つ、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が参議院で審議されています

 テロ対策が重要であることは論をまちませんが、現代の治安維持法とも言われる同法案については、以前も申しましたように、捜査権乱用や人権侵害を招くおそれが強く、廃案とすべきだと考えています。

 反対論があることを受け、衆議院では、取り調べの可視化に関して、法案附則に速やかな検討を明記するなどの修正がなされました。とはいえ、可視化が義務化されたわけでもなければ、277もの幅広い犯罪対象について絞り込みがなされたわけでもなく、法案の問題点は温存されたままなのが実情です。会期末が迫ってはいますが、審議を尽くすよう求めます。

 このたびの「共謀罪」法案はもちろん、各種増税しかり、マイナンバーしかり、安倍政権が国民の皆さまの「自由の領域」を抑える傾向を強めていることに対し、わが党は自由の砦(とりで)、自由を守るための防波堤として抗していくつもりです。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。