英総選挙 振り回されるEU、離脱交渉へ懸念とイライラ

 
EUの交渉責任者、バルニエ首席報道官=9日、ベルギーのブリュッセル(ロイター)

 【ベルリン=宮下日出男】英総選挙でメイ首相の保守党が過半数割れになったのを受け、欧州連合(EU)では離脱交渉をめぐる不透明感の増大に懸念が一斉に上がった。1年前の国民投票に続き振り回される形になりかねないとの思いもあり、いらだちは強い。

 「ロンドンの客を待っている。これ以上の遅れは望まない」。EUのユンケル欧州委員長は9日、訪問先のプラハで記者団にこう語り、英側に次期政権の早期の樹立を促した。

 EU側は準備を終え、19日にも最初の交渉を開く日程を描くが、EUの交渉責任者、バルニエ首席交渉官は9日、「英側の準備が整ってから始めるべきだ」と述べ、予定がずれ込む可能性を示唆。ただ、すでに原則2年の交渉期間に入り、「無駄な時間はない」(独外務省幹部)のが実情だ。

 選挙結果はメイ氏が政権基盤を強化し、国内の交渉環境を整えると踏んでいたEU側にも大きな誤算。メイ氏は続投の意向を示したが、脆弱な政権では保守党内の反EU強硬派だけでなく、野党にも配慮を迫られる可能性があり、交渉が一層困難になるのは確実だ。

 「複雑な交渉がさらに複雑になった」。欧州議会で交渉を担うフェルホフスタット議員は落胆し、エッティンガー欧州委員は「弱い交渉相手は双方にとって危険」と懸念を表明。何も合意できずに交渉決裂となる最悪のシナリオもささやかれる中、トゥスクEU大統領は「ノー・ディール(合意なし)回避に最善を尽くす」と危機感を強めた。

 昨年6月の国民投票で想定外の離脱決定という結果に大きく動揺したEUも、今は円滑に離脱手続きを済ませるのが最優先。欧州議会の有力議員は「メイ氏は火遊びでやけどした」とした上、「個人の政治利益のために国の将来を危うくした。キャメロン(前首相)と同じパターン」と不満をあらわにした。 【ベルリン=宮下日出男】英総選挙でメイ首相の保守党が過半数割れになったのを受け、欧州連合(EU)では離脱交渉をめぐる不透明感の増大に懸念が一斉に上がった。1年前の国民投票に続き振り回される形になりかねないとの思いもあり、いらだちは強い。

 EU側の交渉責任者、バルニエ首席交渉官は9日、「交渉は英側の準備が整ったときに始めるべきだ」と語り、19日にも想定していた最初の交渉の開催を見合わせる可能性を示唆した。

 EU側はメイ氏が政権基盤を強化し、交渉に臨むと期待していただけに、選挙結果はEUにも大きな誤算だ。原則2年の交渉期間も始まり、「無駄な時間はない」(独外務省幹部)との焦りも上がる。

 脆弱な政権では国内への配慮で譲歩が難しくなり、難交渉は一層困難になる。何の合意できずに交渉決裂となる最悪のシナリオも最近はささやかれ、トゥスクEU大統領は9日、「ノー・ディール(合意なし)回避に最善を尽くす」と危機感を強めた。

 欧州議会の有力議員はメイ氏を「火遊びでやけどした」と批判。離脱を決めた昨年6月の国民投票に続く想定外の結果を受け、「個人的な政治利益のために国の将来を危うくした。キャメロン(前首相)と同じパターン」とも皮肉った。