パキスタン、きれいさ際立つ宝飾店通り 金の破片求め隅々まで掃除
パキスタン・ラワルピンディで金の分別作業をするリアカット・マシーさん(共同)
ごみが散乱していることが多いパキスタンの市場で、ひときわ掃除が行き届いたきれいな通りがある。宝飾店が集まる一角で、金を加工したときに生じる細かい破片を清掃人がごみと一緒に採取するためだ。ごみの中から金だけを取り出す専門家もおり、一つの“産業”として成り立っている。
首都イスラマバード近郊ラワルピンディの市場。宝飾店が並ぶ通りに、開店と同時に掃除を始める男性らが現れた。「とても難しくて疲れる仕事だ。すごく細かいからね」と、この道35年のベテラン、ムハンマド・ラフィクさん。ブラシや細い木の棒を束ねた道具を使い、シャッターの溝など狭い場所も見逃さずにごみを回収する。
狙いはネックレスやピアスをつくる際に飛び散る金のくず。別の男性によると、1日に約3キロのごみを集め、平均約400パキスタンルピー(約420円)の稼ぎになるという。
集めたごみは2つの方法で処理される。高熱のかまどで金以外のものを燃やすか、水などを使いながら手作業で金を分別するか。それぞれに専用の作業場があり、ベテランの仕事を若手が学ぶ過程が出来上がっている。
「どんなに小さい粒も逃さないよ」。路地裏の奥まった建物でたらいとにらめっこしていたリアカット・マシーさんは、手作業によるえり分けで40年の経験を持つ。磁石でごみから鉄くずを取り除き、水と一緒にたらいに入れ、振り回しながらガラスや石などを分別。さらに酸を注いで余計なものを溶かし、金の粒だけを採取する。
気の遠くなるような作業だが、マシーさんは「私は誰よりも多く金を取り出せる。日本で仕事はないかね」と笑って話した。(ラワルピンディ 共同)
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