(2)投資家急増中! 市場が急成長している理由とは
ソーシャルレンディングを知る2016年度の市場規模は前年比1.7倍(クラウドポート調べ)と、近年のソーシャルレンディングは成長著しい。利回りも保全性も高く魅力的な金融商品ではあるものの、なぜここまで急速に成長しているのだろうか。連載の2回目はその理由をひも解いていく。(藤田雄一郎)
▽普及の背景には長引く超低金利
ソーシャルレンディング普及の背景には長引く超低金利がある。かつては銀行に預けるだけで6%という時代もあったが、現在では、定期預金の金利は0.01%程度まで下がっている。銀行に預けていても資産は増えず、それに不満に感じる個人は一定数存在している。そんな銀行金利に不満を持つ個人が、より資産を効率的に増やす方法を求めて様々な資産運用を模索するが、これまでは株や外国為替証拠金取引(FX)などのハイリスク・ハイリターン型か、国債や社債などのローリスク・ローリターン型がほとんどで、選択肢は少なかった。
そんな中、投資経験の浅い個人であっても一定のパフォーマンスを安定的に期待できる金融商品として注目を浴び始めたのがソーシャルレンディングだ。
現状のソーシャルレンディング業界の期待利回りはおおよそ年利で5~7%程度(クラウドポート調べ)。もちろん、元本を毀損するリスクは孕むものの、分散投資をしっかり行えば、リスクを限定的なものに抑えることができる。株やFXとは異なり、資産価格が変動することもない。銀行金利に不満を抱える個人が、着実に利益を積み重ねることができる資産運用の新たな選択肢としてソーシャルレンディングを選び始めている。
▽参入事業者数の増加が成長を加速
参入事業者の増加も市場の成長を加速させている。
かつては片手で数えられるほどだったその数も、今や23事業者まで増加(17年6月現在)。不動産業をはじめ、再生エネルギー関連、リース関連、海外個人ローン債権、地方特化型など、様々な個性を持った企業が誕生している。ベンチャー企業のみならず、上場企業が新規事業として参入するケースもあり、群雄割拠の様相を呈している。競合ひしめき合う状況に、各社の投資家獲得合戦も加熱。それぞれが独自の魅力を積極的にアピールすることにより、ソーシャルレンディングというワードが徐々にではあるが、一般の個人投資家層に浸透し始めている。
▽SNSが成長を促進
ブログやツイッターといったSNSでの波及も成長要因のひとつだ。
ソーシャルレンディングを体験した個人投資家がブログやSNSを通じて、自らの投資実績や体験談を公開する事例が増えてきている。ソーシャルレンディング投資家のほとんどが、普通の会社勤めをしている一般的なサラリーマンだ。
特に莫大な資産を築いているわけでも、専門的な金融知識を身につけているわけでもない。SNS等を通じて、身近な存在である一般の個人投資家が、着実に資産を増やしていく様子を見た別の個人が、これならば自分もできると新たにチャレンジするという良い循環が生まれている。
▽「Fintech(フィンテック)」の中核
近年のフィンテックブームもソーシャルレンディング成長を後押ししている。
ITと金融の融合による新しい金融サービスを指し示すフィンテック。14年頃から騒がれ始め、ここ最近の経済ニュースにおいても、その単語を目にしない日はほとんど無い。
当初は、クラウド型会計ソフトやブロックチェーンにばかりに注目が集まっていたが、昨今のソーシャルレンディング市場の急成長を受けて、フィンテック分野においてもその存在感を強めている。矢野経済研究所が発表した15年度の国内フィンテック市場の調査ではクラウド型会計ソフトと共に、ソーシャルレンディングがフィンテック市場を牽引したと言及されている。
海外に目を向けると、すでにソーシャルレンディング(海外ではP2Pレンディング、マーケットプレイスレンディングとも呼ばれる)は巨大な市場を確立しつつある。15年度の世界全体におけるP2Pレンディングの市場規模は250億ドルに達する(米調査コンサルティング会社マソリューションのレポートより)。特にアメリカ、中国の成長は凄まじく、20年には世界全体で2900億ドルに達すると試算する専門家もいる。
国内市場も成長しているとはいえ、16年時点の市場規模で533億円程度(クラウドポート調べ)。世界の中で見れば、まだまだ小さい。日本の経済規模を考慮すると、その成長余力は大きい。貯蓄から投資の流れを促進する起爆剤として、今後のさらなる発展が期待される。
次回はなぜソーシャルレンディングの利回りが高いのか、その理由を解説する。(※次回は7月7日から掲載予定です)
【プロフィル】藤田雄一郎
ふじた・ゆういちろう 株式会社クラウドポート代表取締役。早稲田大学商学部卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。2007年にWEB構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、12年に上場企業に売却。13年に大手ソーシャルレンディングサービスを立上げ、サービス開始から約2年半で80億円の資金を集めるプラットフォームに成長させた。16年11月にクラウドポートを創業。
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